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体調管理編 簡単!コンディションチェック!

「 Beat the Heat!!! 熱中症予防のポイント」では熱中症の予防法についてお話ししましたが、ランナーが安全に走るためには自分のコンディション(体調)を常に把握しておくことが重要です。運動時の死亡事故の多くが心臓疾患による突然死だと言われています。これを防ぐためには定期的な健康診断はもちろんですが、日々のコンディションチェックが欠かせません。熱中症の予防のために運動前後に体重を測るということは前回説明しましたが、その他にも簡単にコンディションをチェックする方法がいくつかありますので、ご紹介したいと思います。

① 主観的体調

まずは自分の体調を感覚でとらえる必要があります。疲労度、睡眠の質や食欲、ランニングの調子など、体が感じたことを主観的に数値化してみましょう。
(例:4=とても良い、3=良い、2=少し悪い、1=悪い)

② 体重

体重は体調を示す数値の中でも特に脱水症状をみるのに有効です。寝起きや運動前後で測ったりしますが、前日や運動前の数値と比べ2%の減少があれば要注意、3%以上で脱水症状とみなします。失った体重の8割以上は水分で戻すように心がけましょう。

③ 体温

寝起きの体温を継続して測り、自分の平均を見つけます。平均より0.5度以上違いがある場合は要注意。1度以上高く出れば体調不良の可能性があるとみなします。疲労が溜まっていたり疾患がある時は高く出る傾向があるので気を付けましょう。

④ 脈

脈拍(心拍数)は体温と同じように普段の平均を見つけましょう。寝起きの脈が普段の平均より5拍以上違えば要注意、10拍以上であれば体調不良の可能性があるとみなします。これも体温同様、数値が多い方を注意します。体調不良や疲労が溜まると普段よりも脈拍が高く出る傾向がありますので、そういう時は運動量や運動負荷を下げて行ったり、その日の運動は控えましょう。

⑤ 血中酸素飽和度

血中酸素飽和度は体の隅々まで酸素の含んだ血液が届いているかどうかの指標で、スポーツ選手の体調はもちろん競技によってはパフォーマンスにも影響する数値になります。健康であれば96%以上という数値が出ますが、心肺機能に何かしらの負担がかかっていたり健康的に問題があれば、95%以下になることがあります。(*1)しかしこれは脈拍や体温にも言える事ですが、10人いれば10人のそれぞれの個人差があり、最低でも2週間から1ヶ月は継続して測定し傾向を知った上での「変化」を見ることが重要です。

*1 酸素飽和度も加齢により低下していきます。高齢者では95%でも標準的な値です。

「血中酸素飽和度」は聞きなれない方が多いかと思いますが、これは体内に供給される酸素量の指標で病院では手術後の患者の容体をチェックするバイタルサインの一つとしても使われています。測定にはパルスオキシメータという非常にコンパクトで持ち運びが簡単な測定器が使われ、測定時間も人差し指に数秒間測定器を挟むだけで血中酸素飽和度と脈拍が表示されるという、測定に非常にストレスの少ないものになっています。現在では病院などの医療現場だけでなく、トップアスリートのコンディション管理などでも使われるようになってきました。

このように個人レベルでも手軽で簡単にコンディションをチェックする方法があります。「主観的」に自分で感じる体の調子と、実際に体の中で起きていることを「客観的」な数値で知ることでより正確なコンディション管理を行って、安心してランニングを楽しみましょう。

  いつ どうやって 目安 備考
体重 朝/運動前後 体重計 -2%要注意
-3%~脱水症状
運動前後、前日との比較
体温 体温計 +0.5℃要注意
+1.0℃~体調不良
普段の平均値との比較
脈拍 朝/運動時 ストップウォッチ
パルスオキシメータ
+5拍要注意
+10拍~体調不良
普段の平均値との比較
血中酸素飽和度 朝/運動時 パルスオキシメータ 96%~正常
95%以下 要注意
普段の変動値との比較