資本市場との対話

当社は、知的財産に関する活動の開示・発信をより効果的なものにするため、ステークホルダーの皆様との定期的な対話を行っております。
2024年度には、複数の関係者と、当社の知的財産報告書や資本市場向けイベントなどを通じた開示・発信について意見の交換を行いました。特に、野村アセットマネジメント株式会社様とは、知的財産の開示・発信と経営戦略の連動性、知財投資の評価指標、財務・人財戦略との結びつきについて意見を交わしました。

コニカミノルタ(以下、当社) 当社は、知的財産報告書の発行、資本市場向けイベントの開催、投資家の皆様との直接対話などを通じて、知的財産の取り組みの開示・発信を積極的に行っています。開示・発信にあたっては事業戦略との連動性を示すことを意識するとともに、知的財産が将来の事業成長をどう支えるのかを、データを伴ったストーリーとして開示するように努めています。

野村アセットマネジメント(以下、野村) 資本市場向けイベントでは、御社の中期経営計画(2023-2025)の基本方針のうち、選択と集中による事業収益力の強化を支える知財戦略について説明がありました。その中で、強化事業の拡大を支える戦略が具体的な技術・製品を用いて紹介されていて、よく理解できました。

当社 さらに理解を深めていただくためには、これら技術・製品がどのように中期経営計画の実現に寄与していくかを、より具体的な価値創造の観点からお伝えしていく必要があると考えています。

野村 資本市場向けイベントでは、知財投資の選択と集中のお話の中で、強化事業においては、知財投資の適正さを測る指標として特許出願件数比率が挙げられていました。一方、2023年の知的財産報告書では、知財ROI(Return On Investment)という別の指標が使われていましたが、どうしてでしょうか。

当社 事業毎に提供する製品やビジネス環境が異なるため、すべての事業を単一の指標でもって評価することは難しいと考えています。知財ROIを使用した例として、知的財産報告書で取り上げたオフィス事業については、1製品あたりの特許数が多く、知的財産が重要な役割を果たしています。特許をはじめとする知的財産権を適切に保有しなければ、事業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。このような事業では、知財活動の有無で異なる実施料収支の差を、利益(Return)として捉え、知財ROIを算出して評価しています。

情報機器事業における知財ROIの推移(知的財産報告書2023より)
情報機器事業における知財ROIの推移
(知的財産報告書2023より)

野村 なるほど、それぞれの事業の位置付けや知財活動の目的に応じて、最適の評価指標を選択しているということですね。

当社 先ほど触れていただいた、全社の特許出願件数に占める強化事業の特許出願件数比率については、2023年度の実績を踏まえ2025年度の目標を70%に引き上げています。その先の目標については、強化事業の売上や全体に占める比率、経営戦略・事業戦略との整合性を見ながら検討していく予定です。

野村 御社は経営戦略・事業戦略との関係性をしっかり示しています。さらに、財務指標や人財戦略との結びつきも示すことができればよいと思います。

当社 知財活動を語るにあたっては、財務指標との結びつきをより丁寧に説明し、過去から将来までの時間軸を結んだストーリーでもって示していきたいと考えています。また、人財も重要な無形資産と捉えており、中期知的財産計画において中長期を見据えた知財人財戦略を掲げていますので、具体的なKPIを設定して実行状況を評価していくことを検討していきます。さらに、当社のIQ-501やSANUQIなどの製品・サービスが、どのようにして強化事業拡大のキーとなったのか、知的財産の観点から開示していく必要があるとも考えています。

野村 今後とも質の高い開示・発信を継続し、短中期のみならず長期にわたる持続的な企業価値向上へとつなげていくことを期待しています。

当社 貴重なご意見を賜り、誠に有難うございました。これらご意見を活かし、企業価値の源泉である知的財産に関する当社活動について、積極的かつ丁寧に開示・発信してまいります。

強化事業拡大のキーとなる製品・サービス