知財活動を支える人財基盤と知財DXの強化
中長期を見据えた人財戦略
知財組織・機能の強靭化
当社は、「知的財産を駆使して、ワンストップで事業貢献ができるプロフェッショナル」を知財活動を推進する人財像として掲げています。この人財像形成に向けて、知財部員として必要な知識・スキルの棚卸をしており、不足もしくは強化すべきものの取得や多面的な視点・考え方の強化のため、海外駐在や知財部門内もしくは他部門とのジョブローテーション、事業部門との兼務、社内外の研修や外部団体への参加などを施策として実施しています。
産業構造や事業環境の変化に伴い、求められる知財スキルはより一層多様化しています。このため、知財部門として必要な知識・スキルを常時監視し、人財育成のための戦略、施策をアップデートしています。
知的財産を生み出す基盤の維持・強化
各事業部門の研究開発活動やパートナーとのアライアンス・お客様との関わりの中で保護すべき知的財産が創出されます。従って、知財部員だけでなく、当社社員が適切な知的財産の活用やマネジメントの知識を持つべく、全社の知財リテラシー向上を目的とした教育システム(コニカミノルタカレッジ)を構築し、知的財産に関する基本的な法律や手続きに関する講座から知財マネジメントに関する講座まで、必要な時期に必要な教育を受けることができるよう機能別の多彩なプログラムを提供しています。
また、法律改正やAI・DX活用に関連する知的財産についての教育、ガイドラインの提供など、社会環境の変化により必要となる教育をタイムリーに実施しています。
知財DXの推進による効率化と新たな価値の創出
DXの推進
当社における知財活動の財務価値を高めるため、知財業務・プロセスの変革を推進しています。その一環として、知財業務を棚卸し、整理、見える化した上で、AI、デジタルツールを活用して、知財業務の自動化、情報収集・集約の効率化等に取り組んでいます。自動化プロセス数を年々増加させ、効率化を加速し、業務における人的負担(時間・工数)の削減を推進しています。更に、削減により創出された時間を新たに活用し、知財権のさらなる質向上や、その他の知的財産に関わる新たな価値を創出すべく、業務シフトを進めています(下図参照)。
また、知財DXに活用するデジタルツールの開発も強化しています。例えば、特許出願明細書の品質管理ツールとして、特許出願明細書における1文当たりの文字数を測定し、全体の平均、分布を瞬時に表示するツールを開発し、活用しています。また、知財予算の執行状況を適時監視するため、月次で全社の知財費用を自動的に集約し、四半期の結果予測を行うツール等も開発しています。このように、デジタルツールの活用により、現状把握、傾向予測など人手で行なってきたプロセスの自動化を進めています。
IPランドスケープ
当社では、知財情報などに基づいて事業環境を分析し、経営や事業に対して戦略提案を行うIPランドスケープを、知財戦略の立案はもちろんのこと、事業戦略や技術戦略の策定など、様々な用途で活用しています。例えば、事業戦略においては新規事業立ち上げ時の戦略策定、技術戦略においては新規研究テーマの開発方向の検討などにおいて活用しています。また、将来の事業環境予測やバックキャストによるアクションプランの仮説・戦略シナリオの構築などにも対応して、IPランドスケープを実施しています。
IPランドスケープによって求められるアウトプットはそれぞれの案件で異なるため、案件に応じたさまざまな調査や、多様な分析が必要となります。ここ数年、事業部門でのIP ランドスケープの活用が増加しているため、事業戦略・企画など関連部門と知財部門との連携を強化するとともに、情報処理の効率化に向けて、既得情報のDB化、AIやデジタルツールによる人的工数の置き換えなど、環境整備の強化を実行しています。