はじめに
2023年度は、当社の創業から150年という節目の年にあたります。当社はこの節目の年に「事業の選択と集中」を柱とする新たな中期経営計画(2023~2025年度)をスタートさせました。事業の選択と集中にあたっては、全事業を「強化事業」「収益堅守事業」「非重点事業」「方向転換事業」の4つに区分し、それぞれの事業の位置づけを明確にしています。中でも、インダストリー事業を中心とする「強化事業」は、当社の成長ドライバーと位置づけ、売上・利益のさらなる成長を図るべく経営資源を重点的に配分していきます。
「強化事業」の成長には、知的財産をはじめとする無形資産の強化が不可欠です。無形資産には、技術や知的財産だけではなく、顧客との関係や組織体制など様々な要素があり、これらが作用し合って各事業の強みを形成しています。無形資産という目に見えない要素を言語化し、事業の強みを見える化することで、非財務情報である無形資産を財務情報に転換していきます。
折りしも、2021年のコーポレートガバナンス・コードの改訂を契機として、知財・無形資産についての戦略や投資に対する経営のガバナンスや外部への開示への要求が高まっています。当社では、2023年度より知的財産部を経営企画本部に組み込み、経営戦略と知財戦略がより迅速により深く連携できるよう組織改正を行いました。今回の知的財産報告書においては、特に新中期経営計画における知的財産戦略や活動計画、取組事例等を報告しております。本書がステークホルダーの皆様とのより実効的な対話のための一助となり、当社の持続的な企業価値向上につながれば幸いです。
取締役
常務執行役 経営企画本部長
葛原 憲康