知財力強化の取組み

ポートフォリオ転換 (1):デジタルワークプレイス事業への転換

当社では複合機を中心としたオフィスプリンティング事業から複合機とデジタルソリューションを含めたデジタルワークプレイス事業への転換を推進しています。デジタルワークプレイス事業では、クラウド対応やセキュリティサービスといったインフラ系のサービス提供を強化するとともに、顧客ニーズや利用状況の変化を捉えることによるカスタマーサクセスを推進することで事業の収益力強化に取り組んでいます。知的財産面では、ハードウェアに関する技術や意匠などを知的財産権により保護するという従来の戦略に加えて、事業成長のキーとなるデータについては、契約による利活用の促進を含めた多面的な戦略を進めています。例えば、お客様先に設置された複合機から得られる利用状況や印刷物の品質変化などのデータに基づく故障予知においては、お客様の業務支援を実現するシステムやソフトについて特許権を取得するとともに、お客様の重要情報を保護しつつデータを当社で利活用できるよう契約などで手当てをしています。このような活動を通じて、お客様先でのダウンタイムの削減や迅速・円滑な保守サービスの実現*などの顧客価値提供を支援しています。

* 関連情報:
デジタルワークプレイス事業:
リモートメンテナンスを実現する情報収集分析システム
https://research.konicaminolta.com/jp/technology/tech_details/pdm/

ポートフォリオ転換 (2):「計測・検査・診断」領域での事業成長

また、当社では「計測・検査・診断」領域での事業拡大により、オフィス事業に変わる収益の柱を確立しようとしています。この事業拡大の加速を支援する知財活動として、インダストリー事業においては、FORXAIとともに活用される外観検査技術や人行動解析技術、ヘルスケア事業においては、X線動態解析技術、プロフェッショナルプリント事業においては、自動品質最適化ユニット(IQ-501)に搭載される自動化技術など*、成長戦略の核となる技術や製品について、集中的な特許出願により特許障壁を構築し、持続可能なジャンルトップの創出を推進しています。このような事業ポートフォリオ転換に応じた知財戦略の構築と実行により、当社の特許ポートフォリオにおいて、「計測・検査・診断」領域の特許が占める割合は、2017年度と比較して2021年度は1.4倍になっています(図2)。
また、「計測・検査・診断」領域においても、データの利活用を促進するための知財戦略を展開しています。例えば、ヘルスケア事業においては、医用データの重要性に着目し、利活用を積極的に進めることで、当社のヘルスケア事業で提供するサービスに新たな価値を付加し、事業の持続的な競争力強化を図っています。医用データの利活用においては、データの取り扱いにかかる第三者との契約などに加え、様々な法令への対応が必要となっています。

2021年度では、次世代医療基盤法に基づくデータ利活用の仕組みの検討、改正個人情報保護法などの法令遵守への対応など万全な法的対策に加えて、パートナーとの共創を推進する契約戦略の構築などを通じて、ヘルスケア事業におけるデータ利活用の支援に取り組みました。

* 関連情報:
インダストリー事業:“みたい”に応える技術
https://research.konicaminolta.com/jp/technology/industry/

ヘルスケア事業:デジタルX線動画撮影・動態解析技術 https://research.konicaminolta.com/jp/technology/tech_details/dynamic_analysis/

プロフェッショナルプリント事業:リアルタイム印刷画像解析技術 https://research.konicaminolta.com/jp/technology/tech_details/professional_print/

図2. 「計測・検査・診断」領域の特許が占める割合
※日本公開ベース