2022年3月期 第1四半期 株主通信
株主の皆様へ
ごあいさつ
新型コロナウイルス感染症の影響は残りましたが、欧米での売上回復、インダストリー事業の成長に加え、昨年度から取り組んできた収益構造改革の効果も寄与し、通期での利益回復に向け会社計画に沿った進捗となりました。
株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
「株主通信2021年夏号」をご高覧いただくにあたりまして、ご挨拶申し上げます。
2021年度(2022年3月期)第1四半期は、新型コロナウイルス感染症の影響は依然として残りましたが、当社売上の6割弱を占める欧米において経済活動の制限が緩和されたことに加え、中国では経済成長が継続、国内においても製造業の回復基調が続きました。このような環境の下、第1四半期の売上高は、デジタルワークプレイス、プロフェッショナルプリント、ヘルスケア、インダストリーの全事業で増収、2,298億円(前年同期比32.7%増)になりました。新型コロナウイルス感染症の影響が表れる前の2019年度の売上高と比較して95%の水準まで回復したことになります。
一方、昨年大幅に削減した販売管理費は為替を除く実質ベースではほぼ前年の水準で抑制した結果、営業利益は31億円(前年同期は226億円の営業損失)と大幅な増益となりました。また、営業キャッシュフローも第1四半期としては高水準な黒字でスタートしています。
事業セグメント別ではインダストリー事業が、四半期売上高としては2012年度第3四半期以降最高、営業利益は同年第2四半期以降での最高の水準を達成し、全社をけん引しました。オフィス事業に続く柱の一つとすべく注力しているインダストリー事業が力強く成長していることは、当社が目指すポートフォリオの転換において大きな成果と考えています。
第2四半期以降も、売上の回復、拡大を各事業で取組む一方、販売管理費の抑制を継続し、年間での業績の回復につなげてまいります。
2021年度の業績見通しは、期初に公表した売上高9,400億円、営業利益360億円、親会社の所有者に帰属する当期利益190億円を据え置きます。
今年度取締役会での承認をうけ、「DX2022」を中期経営計画として始動しました。本計画のもと、2025年度までに二つのポートフォリオ転換を完遂します。一つ目は、当社がオフィス事業で培ってきた顧客基盤を活かした、顧客ワークフローのDX化を支援するデジタルワークプレイス事業への転換です。二つ目は、計測・検査・診断領域で、安全・安心・非接触・個別化という価値観の変化を事業機会と捉え、インダストリー事業、ヘルスケア事業、プロフェッショナル·プリント事業を成長の大きな柱としていきます。
株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
売上高(億円)
営業利益(億円)
親会社の所有者に帰属する当期利益 / ROE(億円)
トピックス
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事業別概況
1.デジタルワークプレイス事業
A3複合機の販売台数はアジアの一部地域でロックダウンの影響を受けたものの、各国の経済活動再開に伴い、欧州、米国、中国のカラー機を中心に大きく回復し、前年同期比でカラー機は132%、モノクロ機は117%、全体では126%となりました。消耗品やサービスなどのノンハード売上高は、顧客企業での従業員の出社再開とプリントボリュームの回復が欧州や米国で進み、中国では前期に引き続き堅調に売上が推移しました。また、顧客のIT基盤を一括受託するマネージドITサービスは米国で大型案件を獲得したほか、デジタルワークフローソリューションの販売が欧州で伸長しました。これらの結果、事業全体では増収増益となりました。
売上高(億円)
営業利益(億円)
2.プロフェッショナルプリント事業
プロダクションプリントでは、欧州、中国でカラー機の販売台数が大きく増加し、前年同期比で全体では132%の販売台数となりました。ノンハード売上高は欧州、米国では中大手の印刷会社でプリントボリュームが回復し増収となりました。産業印刷では、インクジェットデジタル印刷機、ラベル印刷機、及びデジタル加飾印刷機の販売台数が増加しました。ノンハード売上高は、テキスタイルの需要回復に加え、パッケージやラベルに関連する需要が伸長し増収を継続しています。マーケティングサービスでは、欧州で主要顧客の販売促進活動の再開に伴い売上が拡大し、国内ではキンコーズの販促物制作管理などのサービスがけん引しました。これらの結果、事業全体では増収増益となりました。
売上高(億円)
営業利益(億円)
3.ヘルスケア事業
DR(デジタルラジオグラフィー)は、日本では引き続き好調を維持し、インドやアジア地域でもⅩ線回診車の需要増加により数量を大きく伸ばしました。超音波診断装置は、日本の整形外科、産科向けを中心に販売数量を伸ばしました。医療ITは、米国でPACS(医用画像保管・管理システム)の販売が回復し始めました。遺伝子検査サービスは、重点施策であるRNA検査、健診機関向けサービスの「CARE Program」を中心に検査数の増加基調を継続しました。創薬支援サービスは、米国での新型コロナウイルス感染症の影響を受け、製薬会社の治験開始遅延が継続していますが、治験開始に向けた交渉は活性化してきています。これらの結果、事業全体では増収増益となりました。
売上高(億円)
営業利益(億円)
4.インダストリー事業
センシングでは、物体色向けおよび、光源色向け計測器が共に好調であったことに加え、前期に買収したSpecim社の連結効果もあり、四半期で過去最高の売上を達成しました。機能材料は高付加価値製品の強い需要を確実に捉え、新樹脂「SANUQI」フィルムも大型テレビ向けに販売を拡大しました。IJコンポーネントは、主要市場である中国国内の市況が堅調に推移し、欧米も回復しつつあります。画像IoTソリューションは、監視カメラソリューションの欧州向け販売が好調でしたが、サーマルカメラソリューションの需要が落ち着きました。これらの結果、インダストリー事業全体では、四半期としては売上は2012年度第3四半期以降で、営業利益は2012年度第2四半期以降での最高値を達成しました。