2024年4月就任 宇賀地監督に聞く!

2024年4月、コニカミノルタ陸上競技部は、宇賀地強監督のもと新たなスタートを切りました。かつて全日本実業団駅伝(ニューイヤー駅伝)で8回の優勝を誇ったチームは、近年厳しい状況です。このような中で、チームをどう率いていくのか。話を聞きました。

前を向けるメッセージやエネルギーを届けられるチーム

- 早速ですが、コニカミノルタ陸上競技部をどんなチームにしていきたいですか?

宇賀地監督:かつて「強いコニカミノルタ」だった時と何が違うのか。この状況を変えるために自分は何ができるのか、選手たちへのヒヤリングやコーチ陣と対話をしながら深掘りしました。そして、私たちが目指す姿は何なのか、チーム全体で明確に持つことが今は一番大事なのではないかと考え、「私たちの競技活動を通して、前を向けるメッセージやエネルギーを届けられるチーム」と、選手たちに伝えました。監督としてのスタートは、私を含めスタッフ・選手全員が目指したい姿を、チームの共通認識として明確にしたことです。
走って成績を出すだけではなく、たまたまでも見てくれた人にしっかり届けられるように、細かい点にもこだわっていくことが必要だと考えています。競技者としてはもちろんのこと、個人として、例えば日々の挨拶や対話するときの表情、道具の扱い方など、そういった一つ一つを丁寧にすることが、結果にもつながってくると思っています。「別にいいや」と思ってしまったら、弱い自分が出やすくなり、レースの結果にも影響してきます。

- 監督として心がけていることはありますか?

宇賀地監督:選手からコーチに立場が変わった当初、「自分だったらこうするのに」と、つい自分に照らし合わせて考えて選手に指導しがちでした。そうならないように、ということは今でも意識しながら、選手とコミュニケーションしています。
特に海外で研修する中で、海外の選手たちは、競技で勝つことだけにとらわれず、人生を豊かにすることを根源にもっていることを目の当たりにしました。これがあるかないかで、頑張る原動力に差が出ると感じました。ただ練習に取り組むのではなく、「なぜ」それをするのかにこだわってほしい、ということは、日ごろから選手たちにも話しています。

- 監督として取り組み始めたことを教えてください。

宇賀地監督:私たちの年間スケジュールは、おおよそ決まっています。いつ頃、どんなレースがあり、この期間に合宿をして、、、というように長年培ってきた中で、習慣的に進めがちになっていました。でも今年は、1年の目標・ゴールに向けて計画を立てる中で、「なぜ、ここで合宿をするのか」と目的に立ち返って考えなおし、スケジュールの組み直しも行っています。
また、今年からキャプテン・サブキャプテンを2年ぶりに置くことにしました。小さなことですが、寮の掃除の進め方や不用品の扱い方など、キャプテンを中心に自主的な行動や発言がチーム全体で出てきました。

- 選手たちにも変化は出ているのですね。今のチームの雰囲気はいかがですか?

宇賀地監督:現段階では成績が出ていないので、いつもポジティブにいるのは難しいかもしれませんが、みんな愚直に「なぜ」にこだわって練習に取り組んでいます。今は耐える時期ではありますが、1日でも早く打ち破ることができたら、良い流れができるんじゃないかな、と思っています。みんなとても前向きで、真面目な性格の選手ばかりですよ。

- さいごに、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

宇賀地監督:たまたまでもいいから走る姿を見てくださった方たちに、何かを届けられる走りをすることが我々の目指す姿であり、そのためにしっかり自分と向き合って取り組んでいきます。「頑張るので応援してください」とは言えないと思っているんです。何かを感じてもらえるようになっていきますので、ぜひ見ていてください。よろしくお願いします。

PROFILE

駒澤大学で活躍後、2010年にコニカミノルタ株式会社に入社。2013年には世界陸上選手権大会10000mの日本代表。ニューイヤー駅伝には10年連続出場し、2013・2014年の連覇に貢献。2019年にはプレイングコーチとして選手と二役を務め、2020年からはコーチに専念。2021年から3年間はグローバル担当コーチとして海外でコーチングやマネジメントの研修を積んだ。2024年4月監督に就任。