2023年3月期 第2四半期 株主通信
体内の動きを“みえる化”するX線撮影技術の進化
高度な画像技術で約90年にわたり世界の医療に貢献
当社は1933年に自社開発・生産の「さくらレントゲンフィルム」を発売したのを皮切りに、X線撮影装置やマンモグラフィーなどを開発し、デジタル時代の現在に至るまで、「見えないものをみえる化する」高度な画像技術で、世界の医療の高度化に貢献してきました。
なかでも、当社のカセッテ型DR(デジタルX線撮影装置)は、日本のクリニック市場でトップクラスのシェアを誇り、疾患の早期発見・早期診断に貢献しています。
コニカミノルタのX線撮影技術の系譜
世界に先駆けX線動態解析技術を実用化
「単純X線は静止画撮影」。そうした従来の常識を覆し、当社は臓器の「動き」を観察できる画期的なX線撮影・解析技術を世界に先駆けて開発しました。
2018年に発売した「デジタルX線動画撮影システム」では、呼吸にともなう肺野内の横隔膜、肋骨などの動きを“みえる化”するだけでなく、当社独自の画像処理技術で肺の病変を見やすくしたり、横隔膜の動きをグラフ表示したりします。静止画に比べて多くの情報をわかりやすく得ることができるため、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺炎、肺がんなど、さまざまな肺疾患の解明や治療、治療前後の評価を促進し、診療の高度化と効率化を実現します。
動態観察は、これまでも透視撮影装置を使えばできたものの、高価な専用設備が必要でした。当社のシステムでは、一般の撮影室で撮影できるうえ、15秒間の動態観察における被ばく量は、通常の胸部X線撮影2回分(正面・側面撮影)程度と、被ばく量を抑えることができます。また、CTやMRIが仰向けに寝た状態で撮影するのに対して、当社のシステムは体を起こした立位で撮影できるため、日常生活における体勢に近い状態を観察できるというメリットもあります。
このシステムは現在、呼吸器内科や循環器科で活用されており、医師からは、「医療を変える技術」「もっと普及させるべき」など高く評価されています。加えて、救急現場から「重症患者や感染症患者にも使えるようにしてほしい」という期待もよせられ、2022年3月には、ポータブル型でベッドサイドでのX線動画撮影を可能にする「回診用X線撮影装置」を発売しました。
当社は今後も、医療現場との信頼関係をもとに、X線技術を進化させ、疾患の早期発見・治療や患者様のQOL向上、医療費削減といった、医療界の課題解決と発展に貢献していきます。
胸部のX線動態解析イメージ
ベッドサイドでの
X線動画撮影も可能に!
ICU(集中治療室)などに入院する重篤な患者様は、刻一刻と病態が変化するため、迅速かつ正確な診断が常に求められます。しかしCTやMRIといった精密検査を受けることが困難なため、血圧や体温、脈拍など限られた情報で病態管理が行われるのが現状です。
当社の回診用X線撮影装置「AeroDR TX m01」を活用すれば、患者様をX線撮影室まで移動させることなく、ベッドサイドでX線動画を撮影することができます。人工呼吸器を装着している患者様であっても呼吸状態を動画像で簡便にとらえることができるうえ、生体モニタリング情報を組み合わせることで、重症化や改善の徴候を迅速に把握することができます。動画撮影が可能な回診用X線撮影装置は、これまで世の中になかったものです。この製品の価値を発信し、世に広めていきたいと考えています。
基盤事業であるディスプレイ計測事業をさらに強化
世界で50%以上のシェアを誇るコニカミノルタグループのディスプレイ計測機
当社は、ブラウン管テレビの時代からディスプレイ向けの光源色計測機器を手がけ、液晶テレビやパソコン・スマートフォンなどの情報端末の普及にともない、売上を拡大してきました。近年は、ドイツの照明関連測定器メーカーInstrument Systems社(以下、IS社)や、米国のディスプレイ検査システムメーカーRadiant社の買収によって、ディスプレイ光学検査領域全体で50%以上のシェアを確保し、ジャンルトップを維持しています。 ディスプレイ計測事業のさらなる強化のため、2022年8月には、IS社を通じて、韓国の販売技術コンサルタント兼メーカーであるキムスオプテック社を買収しました。
韓国キムスオプテック社の買収でディスプレイ検査領域の事業をさらに拡大
キムスオプテック社は、2005年からIS社のパートナーであり、韓国の大手ディスプレイメーカーや情報通信企業にディスプレイ検査システムなどを提供しています。
同社の買収により、当社グループはアジア市場における顧客接点を強化するとともに、今後進化していくVR(仮想現実)/AR(拡張現実)ディスプレイ検査領域での事業拡大を目指します。
また、キムスオプテック社の製品や顧客基盤を活用し、今後の成長が見込まれるセキュリティー機能に関わる3Dセンサー(本人認証や目線のトラッキング)検査領域に新たに参入します。情報通信分野における新たな計測ニーズを捉え、計測事業のさらなる成長を図ります。
ヒトの感性を“みえる化”する「EX感性ソリューション」
脳工学に基づいた画像解析で“売れるデザイン”を提案
最先端の感性脳工学に基づいた画像解析で、デザイン制作を支援するオンラインサービス「EXplainable感性®ソリューション」(以下、EX感性ソリューション)を開発しました。商品パッケージやWebサイト、店舗デザインなどマーケティング活動に関わるあらゆるデザインについて、ヒトがどこに注目するかを科学的に評価し、消費者が買いたくなるデザインを提案します。
この新サービスを、プロフェッショナルプリント事業において、カラーデジタル印刷機の販売とあわせて展開することで、顧客企業への提供価値を高めていきます。
飲食店のWebサイトとメニューを刷新し、予約数が172%増に
配色が与える印象の分析データをもとに、飲食店のWebサイトと店内メニューを刷新。Webは高級感と風格を感じさせる配色、メニューはくつろいだ印象を与える配色にすることで、来店予約数が172%増となりました。
ポスターのデザインを改善し、注目性が3.1ポイントアップ
電車の中吊りポスターのデザイン制作過程で、ヒトがどこに注目するかを分析。最も訴求したい文字の配置やサイズを調整することで、すっきりしながらも訴求点が目立つデザインとし、注目性を3.1ポイント向上させました。