2023年3月期 第1四半期 株主通信

株主の皆様へ

ごあいさつ

中国でのロックダウンにより供給制約が発生しましたが、為替の追い風もあり増収となる一方、供給加速のための航空輸送や構造改革などの一時費用の計上により減益となりました。

株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
「株主通信2022年夏号」をご高覧いただくにあたりまして、ご挨拶申し上げます。

2022年度(2023年3月期)第1四半期は、中国でのゼロコロナ政策により上海市の経済活動が制限され、当社は販売と生産面で影響を受けました。また、前期第2四半期連結会計期間頃から半導体などの部材供給のひっ迫、物流輸送期間の長期化などが続き、製品の供給と販売に影響を及ぼしました。これらの結果、受注残が拡大しました。このような厳しい環境のもとではありましたが、第1四半期の売上高は、円安による追い風を受けたこともあり、デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業で増収となり、2,478億円(前年同期比8%増)となりました。新型コロナウイルス感染症の影響が表れる前の2019年度の売上高と比較しますと、102%の水準まで回復したことになります。

 

一方、部材・物流費の高騰により売上原価が上昇するほか、航空輸送などにより販売管理費も増加しました。 また事業構造改革に関わる一時費用約35億円を前倒しして計上したことにより、110億円の営業損失(前年同期は31億円の営業利益)となりました。

 

事業セグメント別では、デジタルワークプレイス事業とプロフェッショナルプリント事業において供給問題が継続したものの、想定より出荷を早期化できたことにより販売が増加しました。成長領域として注力しているインダストリー事業のモメンタムが力強く継続していることは、当社が目指すポートフォリオの転換において大きな成果と考えています。

 

2022年度第2四半期以降は、供給を拡大させることで受注残を解消し、年間での業績回復につなげてまいります。2022年度の業績見通しは、為替の前提を実勢に近いレートに合わせたことにより、期初に公表した売上高9,800億円を10,200億円に上方修正し、営業利益150億円、親会社の所有者に帰属する当期利益55億円、年間配当予想の1株当たり20円は据え置きます。

 

今年度も引き続き中期経営計画「DX2022」に掲げる2025年に向けた二つのポートフォリオ転換の完遂を進めてまいります。一つ目は、当社がオフィス事業で培ってきた顧客基盤を活かした、顧客ワークフローのDX化を支援するデジタルワークプレイス事業への転換です。二つ目は、計測・検査・診断領域で、安全・安心・非接触・個別化という価値観の変化を事業機会と捉え、インダストリー事業、ヘルスケア事業、プロフェッショナルプリント事業を成長の大きな柱としていきます。

 

株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2022年8月

コニカミノルタ株式会社 代表執行役社長 兼 CEO 大幸利充

売上高(億円)

営業利益(億円)

-

親会社の所有者に帰属する当期利益(億円)

トピックス

共同出資会社ガバメイツが、愛媛県「市町業務標準化モデル構築事業」を5億円で受注

プロフェッショナルプリント事業のバーチャルショールームプラットフォームが「ドイツイノベーションアワード2022」を受賞

ウクライナ避難民受け入れを支援するため、自治体向け多言語通訳サービス「KOTOBAL」ウクライナ語版を提供

事業別概況

1.デジタルワークプレイス事業

A3複合機の需要は堅調に回復していますが、中国上海市における活動制限の影響を受け、工場の稼働率低下による生産および出荷が遅延しました。販売台数は、欧州、米国、日本、中国など主要地域で減少し、前年同期比でカラー機は89%、モノクロ機は63%、全体では79%となりました。また、6月末の受注残高は前期末から約13%増加し、約580億円となりました。消耗品やサービスなどのノンハード売上高は、欧州を中心に顧客企業での従業員の出社再開によるプリント量の回復が進み、増収となりました。
また顧客のIT基盤を一括受託するマネージドITサービスは、米国では大型案件を受注し売上およびリカーリング収益が増加しましたが、欧州では半導体不足によるサーバー調達やサービスを提供する人財の不足などが影響しました。
これらの結果、デジタルワークプレイス事業全体では増収減益となりました。

売上高(億円)

営業利益(億円)

-

2.プロフェッショナルプリント事業

プロダクションプリントユニットでは、印刷機の需要は引き続き堅調でしたが、中国上海市における活動制限の影響を受け生産および出荷が遅延し、前年同期比でカラー機は105%、モノクロ機は85%、全体では98%の販売台数となりました。また、6月末の受注残高は前期末から約12%増加し約100億円となりました。ノンハード売上高は、米国では企業内印刷を中心にプリント量の回復が想定より遅れていますが、欧州ではトナー供給が回復して増収となりました。
産業印刷ユニットは、欧州でラベル印刷機やデジタル加飾印刷機の販売台数が増加しました。ノンハード売上高は、テキスタイルの需要回復に加え、生活必需品のパッケージやラベルに関連する需要が伸長し、インクジェット印刷機(KM-1)、ラベル印刷機、テキスタイル印刷機の分野で伸長しました。
マーケティングサービスユニットは、欧米での主要顧客の販売促進活動の活発化と、日本と韓国でのオンデマンドプリントの回復により売上が拡大しました。
これらの結果、プロフェッショナルプリント事業全体では増収減益となりました。

売上高(億円)

営業利益(億円)

-

3.ヘルスケア事業

DR(デジタルラジオグラフィー)は、日本では好調を維持し、米国でもX線システムを中心に病院市場で堅調に推移しました。超音波診断装置は、日米では整形外科への販売が堅調に推移し、アジアでも販売を伸ばしました。また、医療ITは、日本では 医療画像管理や遠隔医療、病院と開業医 の連携をサポートするITサービス「infomity(インフォミティ)」の販売が引き続き伸長し、日本と米国でPACS(医用画像保管・管理システム)の販売が伸長しました。
遺伝子検査サービスは、遺伝子検査数は前年同期と比べ増加していますが、米国内での新型コロナウイルス感染症の再拡大により、病院への来院者数の減少や医療スタッフの不足が発生し、想定よりも回復が遅れました。また、創薬支援サービスは、米国で製薬会社による臨床試験の実施が遅れていますが、売上は前年同期を上回り、前臨床試験の売上も増加しました。
これらの結果、ヘルスケア事業全体では増収減益となりました。
なお7月には、日本において厚生労働省よりDNAおよびRNAの遺伝子情報を解析する機能を持つ「GenMineTOPがんゲノムプロファイリングシステム」の製造販売承認を取得しました。

売上高(億円)

営業利益(億円)

-

4.インダストリー事業

センシング分野では、光源色向けおよび、物体色向け計測器がともに好調であったことに加え、非可視光領域を計測するハイパースペクトルイメージング技術を活用した検査機器は、欧米を中心に新規案件を順調に受注し、売上が増加しました。
機能材料ユニットは、下流サプライチェーンの余剰在庫調整により、市場でのフィルム需要が急激に低下しましたが、当社の主力製品のVA用位相差フィルムの需要は堅調でした。
IJコンポーネントユニットは、主要市場である中国では上海市における活動制限の影響を受け販売量が減少しましたが、欧米地域では高精細プリンタ向けヘッドの販売が好調に推移しました。
画像IoTソリューションユニットは、監視カメラソリューションの大口案件を受注したものの、半導体ひっ迫に起因する部材調達の遅延により、一部、欧州で納入が遅延しました。
これらの結果、インダストリー事業全体では減収減益となりました。

売上高(億円)

営業利益(億円)

-