コニカミノルタは、成長を続けるICT領域や自動車領域に
"光"や"色"の高精度測定を可能にする多様な高付加価値製品・ソリューションを提供し、市場を牽引。
計測機器事業の成長を目指しています。
M&Aで圧倒的な市場ポジションを確立
コニカミノルタは、カメラ事業で培った光学技術を基盤に、「光源色計測」と「物体色計測」の分野で多様な製品・ソリューションを提供し、お客様のモノづくりの現場で品質の確保や生産性の向上に貢献しています。色計測のデファクトスタンダードとして使用されている製品も多く、特に世界のディスプレイ画質検査ソリューション市場ではシェアが50%を超え(当社推計)、マーケットリーダーとしてのプレゼンスを確立しています。また、当社では事業の競争力強化を目指して、積極的な事業投資を進めてきました。2012年にはハイエンドの光測定機の開発力を有し、ディスプレイやLED照明の高性能測定でジャンルトップの実績を持つInstrument Systems社(InS社)(ドイツ)を、2015年にはディスプレイ向けの高解像度二次元測定機や画像処理ソフト、自動外観検査システムなどで強みを持つRadiant Vision Systems社(Radiant社)(米国)を買収しています。
こうした取り組みの結果、2017年度における当事業の売上高は、2011年度と比較して約3倍に拡大し、高収益ビジネスに成長しています。当社が注力しているICT領域や自動車領域を中心に高精度な計測機器の需要は大きく伸長しており、今後もグループ各社の特徴を活かしたジャンルトップ戦略を推進し、将来的には売上高を500億円規模へ拡大していきたいと考えています。
分野別売上構成
計測機器事業の業績推移
ICT領域の需要を確実に取り込み、事業基盤を拡大
計測機器事業の成長に向けて注力している領域の一つが、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのICT領域です。4K化・8K化といった液晶テレビの高画質化や、有機ELディスプレイを搭載したスマートフォン・タブレットの普及、スマートウォッチなどアプリケーションの拡大を背景に、世界のディスプレイ市場は今後も順調に拡大するものと見込まれています。
こうしたなか、顧客であるディスプレイのパネルメーカーやモジュールメーカー、最終製品のセットメーカーは、既存設備の更新・増設、新規設備の導入を活発化させています。当社では、こうしたディスプレイ市場におけるサプライチェーン全体をカバーし、ディスプレイの色や明るさの高精度測定を実現する多様な製品・ソリューションを提供することで、さらなる事業の拡大に取り組んでいます。2017年度には大手モバイル機器メーカーから大口案件を獲得したほか、中国や韓国のディスプレイメーカーからの受注も大幅に増加しました。
また近年、指紋に代わるよりセキュアな個人認証の仕組みとして顔認証システムの開発が進んでいます。当社では、液晶・有機ELディスプレイへの取り組みを継続するとともに、新たなセキュリティシステムに搭載される光学デバイスへの対応も進め、ICT領域の需要を確実に取り込んでいきます。
世界のディスプレイ市場予測(面積ベース)
自動車領域の自動化ニーズに応える技術開発を推進
自動車の外装・内装の色計測で顧客基盤のある自動車領域にもさらに注力していきます。自動車業界は、世界各地に開発・生産拠点を持つ企業が多く、サプライヤーも含めて裾野が広い産業です。この自動車業界に対して、当社は、ヘッドライトやインストルメントパネル、カーナビゲーションのディスプレイなど、内外装さまざまな装備の検査に使用される製品・ソリューションを提供し、自動車の安全性・操作性・デザイン性の維持・向上に貢献しています。
また、自動車業界では、さらなる生産性・効率性の向上や労働環境の改善を目指して、完成車の最終検査工程の自動化に取り組んでいます。そこで、当社ではRadiant社の持つ自動外観検査の技術を活かして自動車メーカーへのアプローチを強化しており、現在、複数の企業と自動検査プロセスの開発を進めています。
さらに今後は、電気自動車へのシフトや自動運転技術の開発によって、ディスプレイやインジケータ、さらにはセーフティ用光学センサーなどの技術進化も加速することが予測されます。当社は、お客様の開発・生産現場とのコミュニケーションを一層強化することで、こうした新しい分野のイノベーションを支え、計測機器事業の拡大を図っていきます。
世界の車種別販売台数(商用車除く)の将来予測
自動車における計測機器の利用シーン
計測技術と印刷技術を融合し、One Konica Minoltaで新たなサービスを創出
計測機器事業が持つ光・色を測る技術を活かして、ほかのビジネスユニットとのコラボレーションによる付加価値の高い新製品の開発を進めています。例えば、2017年6月に発売したデジタル印刷機の自動品質最適化ユニット「IQ-501」はその代表製品の一つです。
デジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオ プレス)」に搭載されるIQ-501は、これまで印刷現場のオペレーターが時間をかけて行っていた濃度や色調管理、表裏印字の位置調整を自動化する製品です。これによって、作業時間を大幅に短縮するとともに、オペレーターの技能差による作業のばらつきを防止し、印刷物の品質向上を実現しています。
このIQ-501は発売以来、「ダウンタイムが削減された」「印刷業界の業務プロセスを革新する製品」など、多くのお客様から高い評価を得ています。これからも、当社は、"One Konica Minolta"として、お客様の課題解決に貢献する高付加価値製品の開発に取り組んでいきます。
Radiant社 CSOインタビュー
Douglas Kreysar
Chief Solutions Officer, Radiant Vision Systems
自動外観検査の分野で強みを発揮
高解像度二次元測定機のリーディングメーカーである当社は、2015年8月にコニカミノルタグループの一員になりました。当社の強みは、主に①高解像度でありながらノイズに強く、二次元測定が可能な業界トップクラスの画像測定システム、②ディスプレイの外観検査において微細な欠陥をも検知・解析するソフトウェア、③個々のお客様のニーズに最適なソリューションを提供する経験豊富なエンジニアリングチームの3つです。こうした強みを活かして、世界トップクラスのICT企業や自動車メーカー、ディスプレイメーカーに多様なソリューションを提供しています。
近年、世界的な人件費の高騰や、検査する人によって検査結果に違いが生じることなどの課題があり、検査の自動化ニーズが高まっています。当社のディスプレイ製品の検査システムでは、製造や品質管理のプロセスにおいて不具合を検知するだけではなく、ディスプレイの補正や調整にも対応しています。これにより、お客様企業が生産されるスマートフォンやタブレット、ノートPCなどの品質を確保し、他社製品との差別化を実現しています。また、外観検査の分野においても、「Advanced Vision」という画期的なテクノロジーによって、製品のキズやへこみ、汚れなどの微細な欠陥を検知できます。品質検査を人手による作業から信頼性の高い自動検査システムに切り替えることで、作業時間の短縮や歩留まりの向上が可能になり、生産コストの削減にもつながっています。
こうしたソリューションを提供する当社がコニカミノルタグループに加わったことで、光やディスプレイの検査・測定分野におけるコニカミノルタのグローバルリーダーとしてのポジションをより強固なものとし、さらなる成長に向けた新たな基盤になるものと考えています。
互いの資産を活用し、未知なるマーケットを開拓
当社がコニカミノルタグループに入ってから約3年が経ち、両社の間ではさまざまなシナジー効果が生まれてきました。例えば、コニカミノルタは色や光沢などの外観測定の分野で長きにわたり技術と経験を蓄積してきており、当社のソリューションにコニカミノルタの製品を組み込むことで、より完成度の高いソリューションの提供が可能になり、外観検査という新たなビジネスの展開につながっています。
また、コニカミノルタがグローバルなネットワークを確立していることも当社にとっては大きなメリットです。このネットワークを活用することで、当社の販路は拡大し、すでに劇的な変化が見られています。
当社は、継続的に画像検査システムの高度化や検知・解析ソフトウェア開発能力の向上に取り組んでおり、コニカミノルタとの融合によって、今後未知なるマーケットの開拓が進むことを期待しています。
高品質で革新的なソリューションを開発し続ける
当社の経営陣をはじめ、マネージャー、エンジニア、そして従業員は、コニカミノルタファミリーの一員となったことを非常に喜ばしく思っています。
コニカミノルタというダイナミックなグローバル企業の一員として、その強く安定感のあるリーダーシップのもと、最も品質が高く、かつ最も革新的な画像検査ソリューションを、これまでどおり自由な発想で開発し、マーケットに送り出し続けていきたいと考えています。