コニカミノルタは、オフィス、プロフェッショナルプリントの両事業で
成長に向けた戦略を推進。グループを挙げて
販売の高付加価値化とグローバルなコスト構造改革に注力し、収益を拡大していきます。
販売の高付加価値化とコスト構造改革により着実に利益を創出
当社は、複合機(MFP)とITサービスを組み合わせたソリューションを提供するオフィス事業と、デジタル印刷機の提供を中心とするプロフェッショナルプリント事業を展開しています。この2つを柱とする情報機器事業は、連結売上高の70%以上を占めており、事業展開を通じて培ってきた約200万社の顧客基盤やグローバルなセールス/サービス体制は当社の成長戦略を支える大きな資産となっています。競争の激化や先進国でのカラー化の鈍化によって市場環境が厳しくなるなか、当社は、販売力の強化と原価低減を推進し、グループ全体の収益拡大を目指しています。
販売力については、お客様の経営課題の解決に貢献するソリューション提案を強化するとともに、販売効率の向上を追求しています。過去の商談を分析して成約率や利益率が高い商談の共通項を導き出し、潜在顧客データと照らすことで、営業活動の効率性を高める取り組みを米国などで開始しています。付加価値の高い製品・サービスを、効果的なアプローチでお客様に提案し、信頼関係を深化させることで、長期にわたる収益の確保を目指しています。
一方、原価低減において特に重視しているのは、製造原価とサービス原価です。例えば、製造面では、加工組立工程や検査工程の自動化、データを活用した予知保全によるダウンタイムの削減などにより、原価の低減を図っています。また、サービス面では、複合機の交換部品のロングライフ化や、その稼働状況を収集するセンサーの搭載などによって、サービスエンジニアがお客様を訪問する頻度や回数の最適化に取り組んでいます。
このように、情報機器事業では、トップラインの拡大と原価削減の両軸の取り組みに注力し、2018年度も増収増益を目指します。
情報機器事業の営業利益
利益創出施策
製造原価低減 | 25億 |
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サービス原価低減 | 26億 |
構造改革の効果 | 31億 |
オフィス事業で、成長市場でのシェア拡大とハイブリッド型販売を推進
当社では、2003年のコニカとミノルタの経営統合以来、カラー複合機でのジャンルトップ戦略を一貫して追求してきました。その結果、新興国を中心としてカラー複合機の需要拡大が見込まれる市場においてシェアを拡大しており、台数ベースでは中国、中欧・東欧で1位、インドで2位のポジションを確保し、市場の拡大を牽引しています(当社推定)。
また、オフィス事業の高付加価値化に向けた戦略として推進しているのが、複合機とITサービスを組み合わせて提案するハイブリッド型販売です。複合機という単体の機器だけでなく、ビジネスプロセスの改善、IT環境やコンテンツの一括管理、セキュリティ強化など、お客様の業務の課題解決につながるソリューションを提供することで、お客様との長期的な関係構築を目指しています。
ハイブリッド型販売の対象となる主要な顧客層は、世界各地の中堅・中小の企業です。そこで当社では、2011年に米国のマネージドITサービス会社All Covered社を買収して以降、米国や欧州を中心に複数のITサービス会社のM&Aを実施し、ハイブリッド型販売の営業・サービス提供体制の拡充を進め、個々のお客様それぞれが抱える課題にきめ細かく対応しています。
こうした取り組みの結果、各地域においてハイブリッド型販売の比率は高まっており、契約の更新率や顧客1社当たりの売上・利益も向上しています。
欧米市場におけるハイブリッド型販売比率の推移
ハイブリッド型販売によるお客様との関係深化
プロフェッショナルプリント事業で、付加価値提案の強化により事業を拡大
商業印刷、産業印刷の市場規模は、オフィス印刷の市場規模に比べてはるかに大きく、なかでも少量・多品種印刷や短納期に対応したデジタル印刷のニーズは、まだまだ拡大の余地があります。この市場でさらなる成長を実現するために、当社ではお客様の課題解決を起点にした付加価値提案を強化し、他社との差別化を図っています。
例えば、商業印刷分野においては、多くの印刷会社で濃度、色調補正、表裏印字の位置調整などを現場のオペレーターが担っており、品質管理や業務効率の面で大きな課題となっています。そこで、2017年6月から、デジタル印刷機の自動品質最適化ユニット「インテリジェントクオリティオプティマイザー(IQ-501)」の提供を開始しました。IQ-501は、オペレーターによる作業を自動化するソリューションで、品質の確保や作業時間の短縮を実現しています。また、お客様の稼働率向上に貢献することにより、当社製品のプリントボリュームの増加も期待できます。こうしたIQ-501の付加価値はお客様からも評価されており、収益貢献という面でも確かな手応えを感じています。
また、産業印刷分野では、マーケティングニーズに対応した営業に注力しています。マーケティングの世界では、消費者の購買意欲を高めるために、地域・季節を限定した商品や、消費者一人ひとりに対応した商品などの開発が進んでおり、ラベルやパッケージを少部数で作成したり、贈答用ワインのラベルに名前や日付を金箔で印字して特別感を醸成したりと、よりきめ細かな対応が求められています。こうした産業分野での高度な印刷ニーズに応えるために、一般商業印刷から小サイズパッケージまで幅広い印刷用途に対応するインクジェットデジタル印刷機「AccurioJet(アキュリオ ジェット)KM-1」や、デジタルラベル印刷機「AccurioLabel (アキュリオ ラベル)190」を発売するほか、ニス加工や箔押しなど付加価値の高い加飾印刷技術を持つフランスMGI社に出資するなど、製品ラインナップの強化を図っています。
商業・産業印刷の市場規模
新たなプラットフォームビジネスにより、付加価値提案を強化
当社では、従来の事業を通じて培ってきたITサービスの提供能力をさらに高めるために、2018年夏以降、新規事業として「Workplace Hub(WPH)※」の展開を開始します。WPHは、企業におけるデータの利活用や、それによる生産性の向上をビジネスの現場で支援し、お客様のワークフロー変革を支援するプラットフォームです。当社の複合機を提供している約200万社のお客様に対して、WPHを活用してITシステム管理やセキュリティなどのITサービスをオールインワンで提供することで、付加価値提案を強化していきます。
※WPHについての詳細は、以下のページで紹介しています。
東欧エリア総責任者インタビュー
Roman Tihelka
Managing Director, Cluster East,
Konica Minolta Business Solutions Europe GmbH
東欧でのA3カラー・モノクロ複合機のシェアは1位
東欧において当社は、ハイブリッド型販売の拡大に注力しています。ビジネスの約70%は直販チャネルで展開しており、お客様に密着した営業体制を構築することで、そのニーズの変化に合わせたソリューションサービスを提供しています。
このように多くのお客様と直接的な接点があることは、当社にとって大きなアドバンテージとなっています。お客様からは多くの声が寄せられ、短期間のうちに製品やサービスを開発したり改善したりできるからです。当社製品・サービスの導入企業が増えれば増えるほど、このサイクルは早まります。
現在、当社の東欧エリアにおけるA3カラー・モノクロ複合機のシェアは、台数ベースで1位(カラー:約36%、モノクロ:約23%)の地位を確保しています。東欧ではカラー化比率が40%台にとどまっていますが、今後は西欧同様、80%台まで拡大すると見込まれています。カラーを強みとする当社は、需要を着実にキャッチアップしてシェアを一層拡大し、市場におけるプレゼンスを強固なものにしていきます。
お客様への価値提案の強化と人財の育成に注力
東欧においては大きく2つの戦略を推進しています。その一つ目は、「製品・サービスを通じたお客様への価値提案の強化」です。なかでもITサービスの開発・提供に注力しており、お客様が保有する大量の文書から情報をデジタルデータとして抽出し、さまざまな業務プロセスに統合するMCS(Managed Content Services)分野は非常に順調です。また、ストレージやネットワーク、モニタリングといったITS・インフラ分野のサービスのほか、ERP(基幹システム)導入などの業務プロセスコンサルティングも展開しています。
そして、二つ目が「人財の採用・育成」です。当社は、有能な人財を積極的に採用し、社員一人ひとりのキャリアに応じた研修を用意するとともに、互いが切磋琢磨できる環境づくりに取り組んでいます。東欧エリア内には人材交流制度も整備されており、毎年10名以上がこの制度を利用しています。
チームによる営業活動を推進
近年、業務プロセス全体のデジタル化を支援するサービスへのニーズが高まっています。当社では、こうしたニーズを逃すことなく、お客様とのコミュニケーションのなかで浮上した案件を確実に成約につなげていくために、チームによる営業活動を推進しています。営業部門の社員は営業機会の特定やお客様との関係強化を担当し、社内コンサルタントはコンテンツ管理や動画管理など専門知識を活かしたソリューション開発を担当することで、価値あるサービスの提供に努めています。
多くの企業が持続的な成長を目指しデジタル技術を活用した業務再編を進めるなか、当社への期待はますます高まっていると感じています。単にお客様のニーズを満たすだけではなく、個々のお客様の業務内容をより深く理解し、お客様も見えていない潜在的な課題を提起して解決策を提案する――この取り組みは容易ではありませんが、市場の変化を捉え、必要な能力・スキルを高め、スピードをあげて、お客様のご期待に応えていきたいと考えています。