2018年度の営業利益が、前期比49%増となったプロフェッショナルプリント事業。
この増収を牽引しているのが、安定収益基盤であるプロダクションプリント(PP)事業です。
独自の戦略で収益を伸ばしています。

「地域戦略」と「高付加価値化戦略」を軸に、販売台数が大幅に増加

世界のプロダクションプリント(PP)の市場規模は、印刷機の台数で見ると4万7,000~8,000台であり、今後大きく伸びることはないと予想されています。しかし、そうしたなかでコニカミノルタは、デジタル印刷機のハード・ノンハードともに世界で販売を伸張させており、営業利益率も10%超を実現しています。その成長を牽引するのが、2つの戦略です。
1つ目は、地域戦略です。コニカミノルタは、中国、インド、ASEANなどの成長国にいち早く進出し、アナログからデジタル、モノクロからカラーという印刷機の切り替え需要を取り込んできました。各地の市場ニーズに合わせた事業展開により、特に中国、インドでは50%を超えるシェアを獲得しています。
例えばインドでは、結婚式で豪華なフォトブックを配布する文化に着目し、人肌や色鮮やかな衣装をなめらかに再現する高彩度トナーを搭載したデジタル印刷機を写真館に提案しています。中国では、中・小規模のプリントショップに向けて、コンパクトで安価な印刷機を集中的に展開するほか、環境規制が厳しい都市部において、紙の廃棄ロスを抑制するデジタル印刷のメリットを訴求し、販売を拡大させています。成長国ではまだカラー化の比率が低いため、今後も拡大するカラー機の需要を積極的に取り込んでいきます。

2つ目の戦略が「高付加価値化」です。デジタル印刷機の価格競争が激しくなるなか、コニカミノルタは、デジタル印刷機の自動品質最適化ユニット「IQ-501」により、顧客価値を高め、利益率を向上させています。
印刷現場では、スキルを持つ人材の不足や、職人の高齢化といった背景から、生産性向上や品質安定化が課題になっています。IQ-501は、これまで人手に頼っていた濃度や色の調整、紙の表裏位置調整、検品作業などの自動化を実現します。これにより、印刷前・印刷中・印刷後の各工程における手作業とそれにともなうダウンタイムを大幅に削減するとともに、オペレーターの技能差による品質のばらつきを解消します。IQ-501によるソリューションでお客様企業の生産性向上に貢献すると同時に、プリントボリューム(PV)の増加、収益拡大にもつなげています。

ノンハード:トナーなどの消耗品やメンテナンスなどのサービスといったハードウェア以外の収益源

IQ-501のお客様からのメッセージ

株式会社明光社

執行役員
山内 文吾 様

当社では主に書籍印刷を行っています。「IQ-501」導入後は、色調整や表裏位置調整などの作業が誰でも簡単にできるようになりました。調整時間が大幅に短縮されたので、1日当たりの印刷量が増えています。また、色調と印字位置の安定性が向上したことで、PCモニターの色合いをそのまま再現できる「RGB印刷」が可能となり、お客様からのカラー印刷の受注増加にもつながっています。

RGB:光の三原色「R(赤)・G(緑)・B(青)」のこと。発色方式として、印刷では、主にCMYKモードが利用されているのに対し、モニター表示などには主にRGBモードが利用されている。

今後もPP事業で収益をあげ続けるため、従来以上に追求していくのがPVの拡大です。
そのため2019年度からは、主力のカラー中速PP領域に加え、より大きなPVを獲得できるカラー高速PP領域に積極的に参入していきます。インターネットで受注するWeb to Printビジネスやダイレクトメールなどのデジタル印刷のニーズが増えており、ハイエンド向け高速PP機の需要は今後も増加していくものと見込んでいます。
このカラー高速PP領域において当社は後発ですが、「IQ-501」が大きなアドバンテージとなります。IQ-501は、印刷物の測色計の技術を持つ当社の計測機器事業と共同開発したユニットであり、当社にしか提供できないものです。お客様企業からの評価も非常に高く、現在、新規販売されるカラー中速PP機の80%超に搭載されています。IQ-501を搭載すれば1台当たりの生産性が上がり、例えば、これまで3台で対応していた印刷量を2台で対応できるようになるなど、さらなる顧客価値向上につながります。
2019年2月には、IQ-501に業界初の自動リカバリー印刷機能を備えた「自動検品システム」を追加するオプションを発売しました。今後も、さらなる機能拡張を計画しています。将来的には、複数の印刷機の管理や他拠点との連携などによるワークフローの統合管理も視野に入れながら、お客様企業の課題を解決するソリューションを提供していきます。

PDF版 分割ダウンロード

コニカミノルタの強みと価値創造 (PDF:3.9MB)

  • 発行にあたって
  • 目次
  • コニカミノルタフィロソフィー
  • 価値創造プロセス
  • 強み①顧客基盤
  • 強み②技術力
  • 強み③ビジネスモデル

成長戦略 (PDF:3.1MB)

  • 中期経営計画
  • CEOメッセージ
  • CFOメッセージ
  • 特集1:Workplace Hub
  • 特集2:バイオヘルスケア事業
  • 特集3:プロダクションプリント事業

事業概況 (PDF:2.5MB)

  • コニカミノルタの歩み
  • 財務・非財務ハイライト
  • At a Glance
  • オフィス事業
  • プロフェッショナルプリント事業
  • ヘルスケア事業
  • 産業用材料・機器事業(産業用光学システム分野)
  • 産業用材料・機器事業(材料・コンポーネント分野)
  • セグメント別の市場データ

企業価値向上を支える基盤 (PDF:2.9MB)

  • コーポレートガバナンス対談
  • コーポレートガバナンス
  • サステナビリティマネジメント
  • Topics:RPA活用
  • Topics:知的財産戦略
  • 持続的な成長を目指すコニカミノルタの経営に対する外部評価

財務セクション (PDF:1.4MB)

  • 10年間の主要財務データ
  • 財務分析
  • 連結財務諸表
  • 会社概要/株式情報
  • 用語集