コニカミノルタのソリューションビジネスの中核となるプラットフォーム「Workplace Hub」。
複合機やITサービスなどの基盤事業を通じて築いてきた顧客基盤を活かして、
2018年秋から、世界で順次サービス提供を開始しています。
中小企業の課題を解決するオールインワンのITサービスを提供
コニカミノルタでは、多様な業種・業態のお客様に密着して業務理解を深めることで、複合機とITサービスを組み合わせて提案するハイブリッド型販売を実現してきました。それによって、業務の課題解決につながるソリューションを提供し、お客様との長期的な関係を構築しています。こうした当社ならではの付加価値をさらに高めるのが、次世代プラットフォーム「Workplace Hub」です。
近年、ビジネスの現場では、労働人口の減少を背景に、ITを活用した生産性向上へのニーズが高まっています。しかし、IT人材やノウハウの不足、初期投資や管理業務の負担などから、IT活用が進んでいない中小企業は少なくありません。Workplace Hubは、こうした中小企業のお客様に対し、ITインフラ、ITサービス、保守・運用をオールインワンで提供するとともに、クラウド上のマーケットプレイスを通じてさまざまな最新アプリケーションを提供します。また、クラウドと連携するオンプレミスのサーバーとして高いセキュリティを確保できるため、機密性の高いデータを自社内で保有・管理したいというお客様のニーズにも応えます。
一方Workplace Hubは、マイクロソフト社、ヒューレット・パッカード エンタープライズ社やSophos社などのITベンダーからも、中小企業にアプローチできる有効なプラットフォームとして期待されています。今後、パートナーとなるベンダーを増やしながら、コニカミノルタの約200万社の顧客基盤を活かしてWorkplace Hubの拡販を図っていきます。
One Konica Minolta の力を結集し、2018年度から世界に展開
Workplace Hubは、欧州のビジネスイノベーションセンター(BIC)が中心となって企画し、欧州において開発され、事業開発とマーケティングは米国、全体の事業企画・管理は日本という、One Konica Minoltaの体制でつくりあげました。開発には、お客様の反応や要望をもとに仕様をバージョンアップさせていくアジャイル開発手法を採用し、すでに数回のアップグレードを実施しています。今後も、常に品質を高めながら、最新のIT環境を万全なセキュリティ対策とともに提供していきます。
2018年秋、米・独・仏・チェコで販売を開始したのを皮切りに、順次、Workplace Hubの展開地域を拡大しています。2019年度からは日本でも販売を開始。2019年度中に、25カ国での展開を計画しています。
お客様からのメッセージ
Mr. Howie Flagler
Vice President, Spector Textile Products
当社は、ほかの多くの中小企業同様、IT分野の急速な変化への対応に苦労しています。老朽化するハードウェアの保守から最新情報の収集、ライセンス更新、アップグレードの導入に至るまで、当社にとってはすべてが難題です。そのため、これらの機能の維持が、本業に影響を及ぼすほどの負担となってきました。
IT管理サービスを備えたコニカミノルタの「Workplace Hub Edge」を導入したことで、ITの効率的な管理が可能となり、本業に専念できるようになりました。
Spector Textile Products
業務内容:紡織業
所在地:米国マサチューセッツ州
規模:従業員30~40名
お客様からのメッセージ
Mr. Petr Mohyla
Owner, Mohyla CZ s.r.o.
当社は中小企業のため、IT設備を設置できるスペースが限られています。しかし、高水準な会計サービスの提供には強固なITインフラが欠かせないのが実情です。
これまで複合機が置かれていた場所に「Workplace Hub」を設置することで、総合的なIT管理環境を整備することができました。さらに、社内の既存仮想サーバーともシームレスに同期し、あらゆるデータを確実に保護・保存できるようになっています。
Mohyla CZ s.r.o
業務内容:会計・税理事務所
所在地:チェコ共和国
規模:従業員20名以上
リカーリングで継続的に収益を拡大するビジネスモデルを確立
Workplace Hubは、世界に約200万社という顧客基盤を持ち、直販体制を敷いて多様な業種業態のお客様の業務理解を深めてきた当社だからこそ、開発・提供できるプラットフォームです。2018年度から欧米で先行して販売を開始しましたが、IT管理の負荷軽減やセキュリティ面などでWorkplace Hubの価値が十分に認められているという手ごたえを感じています。特に、製造業や、弁護士事務所・会計事務所といったサービス業から多くの引き合いをいただいています。
Workplace Hubは、基本サービス部分の定額課金に加え、追加サービスや業種別ソリューションなどの付加価値サービスを実際の処理量や端末数などの利用実績に基づいて課金する従量課金システムを採用しており、ここに事業成長のカギがあります。複合機とは、ハードとリカーリング※1の売上構成比が大きく異なります。複合機のリカーリング比率は約6割なのに対し、Workplace Hubは8割超と、継続的に収益を拡大できるビジネスモデルだといえます。契約期間も、通常のITサービスは1年ですが、Workplace Hubは5年に設定しています。
※1リカーリング:期間内の利用に応じて継続的に料金を徴収すること。
顧客層と販売チャネルを拡大し2020年度に1万顧客の獲得へ
まずは、2020年度に1万顧客の獲得を目指しています。これは損益分岐点から割り出したKPIです。1万顧客獲得によってWorkplace Hubへのこれまでの投資を回収し、以降は利益を拡大していくことができます。1万顧客獲得のため、まずは約200万の顧客基盤のうち複合機の直販顧客28万社をコアターゲットとして、顧客開拓を進めています。
基本的には、20~200人規模の中小企業を対象としていますが、思いのほか、多数支店を持つ大手企業にも関心を持っていただいています。6,000人規模のグローバル企業のドイツ支社にも導入していただきました。また、複合機の需要創出効果も出ています。例えば、他社の複合機ユーザーだったお客様が、Workplace Hub導入と同時に複合機8台を当社製に置き換えてくださったケースもあります。
2019年度からは、ディーラー経由での販売も開始します。うれしいことに、Workplace Hubは差別化に向けた商材として各地のディーラーから高く評価されています。欧州では、大手通信会社がWorkplace Hubの販売パートナーになっていただけるという話も出てきています。これらパートナーとも積極的に協業し、販売を加速させていきます。
データビジネスへと進化させ2022年度に売上高1,000億円を目指す
2020年度の1万顧客獲得の先にある目標は、2022年度の売上高1,000億円達成です。これを実現するためには、よりお客様の現場に入り込み、潜在課題を提起し、解決していかなければなりません。
そこで、Workplace Hubの事業展開を3段階に設定しました。チャプター1はITインフラを一括管理する「マネージドIT」、チャプター2は、生産性・創造性を向上させる「業種別ソリューション」であり、現在はこの2つで顧客基盤を広げている段階です。そして今後、本格的に注力していくチャプター3が、Workplace Hubに蓄積したデータを活用する「データサービスソリューション」です。例えば、蓄積データからスキャン・プリントの内容を分析し、契約書が多いようであれば契約書の作成や管理に関わる業務フロー改善を提案するといったように、データから潜在的な課題を「見える化」してソリューションの提供につなげます。2020年度以降は、このデータビジネスを事業の柱にしていく予定です。
こうした事業展開に向けて、現在約2,000人規模のシステムエンジニアを擁していますが、Workplace Hub専任のエバンジェリスト※2の育成も急ピッチで進めています。将来的には、Workplace HubをOne Konica Minoltaのプラットフォームにする計画です。当社が展開するすべてのITサービスやIoTデバイスをつなげることで、Workplace Hubの可能性をさらに広げ、お客様への提供価値を深化させていきます。
Workplace Hubには、お客様やディーラーはもちろん、マーケットプレイスにアプリを提供していただくベンダー各社からも、大きな期待が寄せられています。多様なステークホルダーとの価値共創によって、Workplace Hubの事業を拡大していきます。
※2エバンジェリスト:新製品・サービスの魅力を広くわかりやすく訴求する専門家。高度化・複雑化が進むIT業界で注目されている。