プロフィール
経営コンサルティングおよびITサービスを提供するアクセンチュア株式 会社の経営に長年携わり、企業経営者として豊富な経験とデジタルビ ジネスに関する幅広い識見を有する。2018年6月に当社の社外取締 役に就任。2022年6月から取締役会議長に就任。

取締役会議長への就任にあたって

2022年6月より取締役会議長に就任いたしました。松﨑前議長は長年にわたり当社のコーポレートガバナンスの実効性向上および進化に多大な貢献をされたので、後継者として責任の重さを感じています。
当社において社外取締役が議長に就くのは初めてのことです。就任を打診された後、指名委員会等設置会社で議長として活躍されている方々にお話を伺ったところ、社外取締役が議長を務めることで執行側の発言が活発になるとの指摘がありました。社外の人間が議長として議事運営にあたることによって、社内のヒエラルキーなどを気にせず発言できるようになるからです。また、経済産業省が2020年に発表した「社外取締役の在り方に関する実務指針」において、「社外取締役も、①取締役会の適切な議題選定(アジェンダセッティング)及び②取締役会の活性化のための運営上の工夫等について、積極的に働きかけることが望まれる」との記載があります。
これらを踏まえ、当社においても社外取締役が議長を務めることを契機に、コーポレートガバナンスをさらに一歩前に進められるのではないかと考え、就任を受諾しました。業務執行に対するモニタリングやアドバイスにとどまることなく、社外取締役ならではの外部の知見や資本市場の目線などを活かして執行陣の戦略立案を能動的にバックアップする。そういった新しいガバナンスのステージへと進むことができれば良いと思います。私自身、アセットマネジメント会社の社外取締役やプライベートエクイティファンドのアドバイザーを務めています。そこでの経験や知識を踏まえ、今後は議長として、株主はもちろん社内外の幅広いステークホルダーの皆さんと多面的にエンゲージメントができるのではないかと捉えています。
さらに2022年6月の定時株主総会をもって、取締役会は社外取締役5名・社内取締役4名となり、社外取締役が過半数となりました。昨年度は社外取締役5名・社内取締役6名であり、コーポレートガバナンス・コードが求める「社外取締役1/3以上」はクリアしていましたが、過半数を実現したことは大きな前進であると自己評価しているところです。また、当社の社外取締役は知識・経験・能力のバランスの面から見て最適な人財で構成されています。この社外取締役と社内取締役および執行体がこれまで以上に力を合わせ、事業ポートフォリオ転換を加速させます。

2022年度の取締役会の運営方針

2022年度は、次の3つの大きな方向性のもと、取締役会を運営する方針です。
1つ目の方向性は、注力すべき戦略領域を絞り込み、PDCAサイクルを回してその進捗状況を監督することです。2022年度は「事業ポートフォリオ転換」「執行力の向上」「信頼回復・自信回復」の3つとしました。事業ポートフォリオ転換を重要戦略に掲げながら、計画どおりの成果が得られず、当社業績は低迷しています。これまでも取締役会でその要因や解決すべき課題などについて議論しましたが、状況打開には至っていません。2022年度はこれら3つの注力すべき戦略領域に関して、四半期に1回の頻度でPDCAサイクルを回しながら、取締役会の重要なアジェンダとして議論を重ねていきたいと考えます。
2つ目の方向性が、これまで以上に株主や投資家の皆様の目線に立ったコーポレートガバナンス体制を構築することです。私に限らずほかの取締役からも指摘があったのですが、取締役会や執行陣には、当社に対する資本市場の見方、ライバル企業の状況などを客観的に捉えるという視点がまだまだ足りないと感じています。今後、取締役会はもちろん執行側の会議体において、資本市場が当社に何を期待しているのかといった議題を頻繁に取り上げていく必要があると思います。
そして3つ目の方向性は、当社のコーポレートガバナンスを次のステージへと昇華させることです。これまで日本企業のトップランナーとして、コーポレートガバナンスの進化・改革に取り組み、その実効性向上を図ってきましたが、欧米の企業はさらに先に進んでいます。例えば米国では、資本市場に明るい取締役が執行陣と協働し、彼らの経営戦略立案を支援する「Board3.0」モデルに関する議論が盛んに行われています。これをこのまま導入すれば良いとは考えてはいませんが、現在のモニタリングボードとしての実効性を一層高めつつ、日本社会に適した次世代のガバナンスの在り方を検討することも取締役会の大切な役割です。前述のように、社外取締役がより能動的に戦略立案をバックアップしていくことは、そうした試みの一つになるはずです。

新社長を中心とする執行陣への期待

当社は2015年に代表執行役社長の後継者計画に対する取り組みを開始し、指名委員会がそのモニタリングを行いました。具体的には、「①社長資格要件の明確化」→「②社長後継者候補(群)の選定」→「③外部機関によるアセスメント実施」→「④対象者育成計画の策定および実践」→「⑤確認・評価」→(必要に応じて⑥候補者(群)の絞り込み/再設定の後、再度④および⑤を経て)→「⑦社長後継者最終候補の指名」というプロセスです。指名委員会は、定期的に当時の山名社長から報告を受け、これに対する監督や助言を行いました。結果、取締役会決議により次期社長に選定されたのが現在の大幸社長です。私も指名委員の一人として選定プロセスに関与しましたが、大幸社長には、事業ポートフォリオ転換を成し遂げるための粘り強さや、チームを一つにまとめる力があると考えています。
2022年度は中期経営計画「DX2022」の最終年度です。残念ながら当社は、自ら掲げた目標を複数年にわたり達成できていない、3期連続でROEがマイナス、2期連続で営業損失という厳しい状況にあります。大幸社長を中心とする新執行陣には、実態を重く受け止めたうえで、今年度こそは確実に結果を出してくれることを期待します。
取締役会も危機感を持って全力でサポートしていきます。2022年度の注力すべき戦略領域の一つに「執行力の向上」を設定したのもそのためです。当社の社外取締役には、業容転換を実現させた方もいれば、経営危機を乗り越えた方もいます。このような経験や知見をもとに、私たち社外取締役は戦略立案に対する選択肢をこれまで以上に示すつもりです。さらに社外取締役同士の密なコミュニケーションのために、2022年度からは、社外取締役のみによる会合を年4回開催する予定です。また、社外取締役に社長、執行役会長を加えた会合も年に2回程度開催することを検討中です。
取締役会は、これからも経営執行を実効的にモニタリングすることはもちろん、戦略立案や執行力の向上に関して積極的に支援することによって、当社の持続的成長と中長期的な企業価値向上を図っていきます。

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