デザイナーズインタビュー
機能が持つ美しさを、デザインの力で形にする
芝山 淳
プロダクトやロゴデザイン、新規事業創出などを担当
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岩松 直明
プロダクトデザインや新規事業の企画・推進などを担当
「デザインが必要な企業や人を支える」ために
岩松:大学在学中に産学連携プロジェクトに参加して、ものづくりの現場でBtoBのプロダクトデザインを経験しました。そこで「デザイナーがいない、または少ない企業の人たちのためにデザインの仕事をすること」に社会的な意義を感じたんです。コニカミノルタのデザインデンターはBtoBを数多く手がけており、「ここならデザインの力を強く求めている人たちの力になれるのでは」と感じたことが、入社の決め手となりました。
現在はプロダクトデザインを中心に、新規事業の計画や推進にも携わっています。
機能美を追求する、本質的なデザインを求めて
芝山:私は大学でインダストリアルデザインを学んだ後、新卒でデザイン事務所に就職して、そこではイヤホンやヘッドホンなどコンシューマー製品のデザインに従事しました。ですが、モデルチェンジサイクルが短く表面的な装飾による変化で新規性を求められがちでした。そうした仕事をする中で「もっとユーザーの本質的なニーズや美しさを追求できるデザインがしたい」と思うようになり、プロフェッショナル向け製品を手掛けるコニカミノルタへの転職を決めました。今は主にセンシングやヘルスケア領域のプロダクトデザインを手がけています。
新たに刷新するプロダクトを一丸となって制作
岩松:芝山さんとはディスプレイカラーアナライザー「CA-410」のデザインで一緒に仕事をしました。ディスプレイカラーアナライザーとは、液晶画面等の発光・発色具合を計測する装置で、15年ぶりに刷新することになったプロダクトです。
僕は、アナライザー本体のデザインを担当しました。デザイン全体の方向性は、新世代機としてのあるべき姿をチームで描き、それぞれの製品に具現化しました。
芝山:私の担当は「CA410」のプローブ(受光器)のデザインです。
モックアップ(試作品)をつくり、事業部からフィードバックをもらって、また新たなモックアップをつくって……その繰り返しで製品をブラッシュアップしていきました。
徹底したスリム化と統一感へのこだわり
岩松:デザインを刷新するにあたっての課題は、機能の充実と操作性の向上でした。接続できる端子を大幅に増やすため、必要最低限のハードキーだけを残し、その他は中に収める形でUI(ユーザーインターフェイス)のレイアウトを合理的に詰めていきました。
そして、筐体のスリム化を徹底的に行い、最終的に前モデルの70%ほど縮小させ、高いスペックと持ち運びができるサイズ感を両立させることができました。
芝山:私がこだわったのは、プローブの色と素材です。前モデルは本体の色が黒でプローブはシルバーだったのですが、同じシリーズの製品ということが一目でわかるように色を黒に統一しようと事業部に提案しました。
色の変更に合わせて、素材自体もカメラの本体に使うような、粒感のあるレザートーンにしました。これにより、本体の反射を抑えられるという利点もあり、
見た目と機能性を兼ね揃えたデザインを実現できたと感じています。
プロダクトに込める、2人のデザインへの想い
岩松:僕はプロダクトに関わる人々のニーズに寄り添って、合理的にデザインを詰めていくことが多いです。だからこそ、客観的にデザインを見て、「直感で感じる美しさ」が宿っているかを大事にしています。そういう本質的に美しいものって、言葉で説明しなくても一目見るだけで製品の本気度みたいなのが伝わりますから。
使う道具をユーザー自身が選べないBtoBのプロダクトだからこそ、操作性だけでなく見た目の美しさにも気を使っています。
芝山:私は、必要な要素を無駄なく取り込んだ形状に、美しさは自ずと宿ると考えていて。だからこそ、装飾的な「デザインのためのデザイン」をしないようにと、常に意識しています。 デザインセンターでの仕事はさまざまな領域のプロダクトを手掛けることができるため、デザイナーとしての引き出しも広がり、やりがいを感じています。日々の仕事の中で学びを深めつつ、すべての形に意味があるようなデザインを追求していきたいと思います。
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OFF TIME休日は、デザインの“眼”を養うための時間に
岩松:オフの日には骨董市やヴィンテージマーケットに行くことが好きです。とくに目的を持たず眺めながら、自分が直感で「いいな」と思うものを探すようにしています。一見汚くてボロボロに見えたとしても、魅力があるからこそ、捨てられずに今でも残っているんだと思うんですよね。そういう魅力あるモノに出会えるとワクワクします。
芝山:学生のころから、趣味でロードバイクを始めたので、オフの日はそれに乗って学生時代の友だちと出かけています。実は、乗る目的よりも見た目の美しさにひかれて買ってしまって(笑)。ロードバイクはパーツの一つひとつの形状に無駄がなく、機能美が凝縮されているんです。金属の削りだしの美しさは見ていて惚れ惚れしますよ。
Designer's Profile
Jun Shibayama
東京造形大学造形学部デザイン学科インダストリアルデザイン専攻卒業
2016年にキャリア採用入社
入社後、センシング事業、ヘルスケア事業に携わり、プロダクトやロゴのデザイン、新規ビジネス創出を行っている。
Naoaki Iwamatsu
京都工芸繊維大学大学院デザイン経営工学専攻修了
2014年に新卒採用で入社
入社後、新規事業企画・推進などで、プロダクトデザイナーとして活躍。各プロジェクトのデザインアプローチの探索と研究を行っている。