2つのポートフォリオ転換を最優先課題に

当社の中核事業であるオフィス事業では、近年、紙出力の減少が続いていましたが、2020年度はコロナ禍によってこの流れが加速することとなりました。この事業環境の変化に対応すべく、当社は2つの異なるポートフォリオ転換を同時に実現するという課題に挑戦しています。一つは、これまで複合機を中心としてきたオフィス事業を「デジタルワークプレイス事業」に進化させることであり、もう一つは「計測・検査・診断」の領域を新たな柱の事業として確立していくことです。この2つのポートフォリオ転換を、スピード感をもって成し遂げることが経営における現在の最優先課題であり、2025年度までに完遂を目指しています。
当社の事業ポートフォリオマネジメントでは、成長性、収益性・資本効率、戦略適合性の3つの軸で各事業の意義・役割を厳格に評価したうえで、それぞれを「戦略的新規事業」「コア事業」「安定収益事業」「低収益事業」の4象限にマッピングしています。ポートフォリオ転換に必要不可欠な事業への投資やリソース配分についてはしっかりとした手を打つとともに、低収益事業については売却や第三者との資本提携といった選択肢も視野に入れながら収益改善あるいは取捨選択するといった、メリハリの利いた迅速なアクションを実行しています。

資本効率を重視した事業ポートフォリオマネジメント

事業ポートフォリオマネジメントの強化においては事業別KM-ROIC※1と全社資本コストを指標として、全社的な資本効率の向上と企業価値の最大化を目指しています。具体的には、DX2022の期間内に目指すべきKM-ROIC(ハードルレート)を事業ごとに設定し、各事業はこの達成に向けて事業戦略を推進しています。また新たな事業の立上げやM&Aを検討する際には、当該案件のKM-ROICが全社ハードルレートを超過するまでに要する期間を投資判断の重要な基準としています。さらに、投資実行後にも定期的なレビューを行うことで、投資計画時の目標以上のリターン創出を目指していきます。
一方、事業の撤退または縮小の判断に関しても、事業別ハードルレートおよび資本コストを下回るなどといったExitルールを定めており、これに抵触した事業については再建・撤退などの具体的検討プロセスを開始することとしています。 事業別KM-ROICと投下資本収益※2を、全社資本効率向上のための両輪と位置づけており、両指標の最大化を通して、資本効率と企業価値のさらなる向上を実現していきます。

※1  KM-ROIC:事業利益を投下資本で除した比率。事業活動のために投下した資本を使って、どれだけ事業利益を生み出したかを示す指標。

※2  投下資本収益:事業利益から投下資本コストを控除した金額。どれだけ投下資本コストを上回る価値を創造したかを示す指標。

事業ポートフォリオマネジメント

事業ポートフォリオマネジメント

財務目標と財務健全性指標の設定

DX2022では、利益目標に加えてROICや財務健全性指標についても年度ごとの目標を設定していますが、先述のように「2025年度までに『2つのポートフォリオ転換』を完遂させる」ことが最優先課題であることから、今後は必要に応じて戦略投資の前倒しも実施していく方針です。その過程でROICや財務健全性の目標達成は、多少優先順位が下がる可能性があります。
もちろん「2025年度末までに資本コストを上回る6.5%超の水準にまでROICを回復させる」という目標や「長期的にはROIC9~10%水準を目指す」という基本方針は堅持していきます。2025年度までの時間軸のなかで、財務ガバナンスの強化、財務リスクの最小化、資金効率の向上、株主資本の充実により、財務基盤をより強固なものとし、積極的な成長投資を後ろ支えするという考え方そのものに変更はありません。

成長のための資本政策

営業キャッシュ・フローについては、2020年度の第2四半期以降、回復傾向が顕著になっています。今後も構造改革・効率化施策の成果出しや新規事業の収益拡大、さらに在庫・営業債権などの絞り込みによるキャッシュ・コンバージョン・サイクルの徹底的な改善に努めることで1,000億円/年程度の創出を目指していきます。加えて、非コア事業・資産の切り出しやスケールアップ加速に向けた資本提携なども活用し、キャッシュインの最大化を図っていく考えです。
創出したキャッシュの使途としては、将来の成長に向けた戦略投資枠として2021~22年度の2カ年合計で約300億円を設定しています。次の柱となる事業領域に重点的に投資を行っていく予定ですが、2025年までの事業ポートフォリオ転換の完遂のために、2023年度以降に予定していた投資を前倒しで実行する可能性についても検討を進めています。
設備投資については、オフィス事業を中心に投資額の抑制を図る一方、DXや事業成長に直結する設備投資は拡大するといったメリハリをつけた設計にしています。また成長投資と財務健全性のバランスを考慮したうえで、負債の圧縮にも努めていく考えです。

2021-2022年度のキャッシュアロケーションの考え方

2021-2022年度のキャッシュアロケーションの考え方

株主様への利益還元

当社は、連結業績と成長分野への戦略投資の推進等を総合的に 勘案しつつ、株主の皆様に積極的に利益を還元することを経営の 基本方針としています。2020年度の配当については1株当たり25 円(中間配当10円、期末配当15円)で実施させていただきました。 2019~2020年度は、コロナ禍という未曽有の事態を受けて手元 流動性の確保を最優先としたため、従来から継続してきた1株当たり30円の年間配当を下回る結果となりましたが、2020年度の第2 四半期以降、当社の利益とキャッシュ創出力は着実に回復傾向を 見せており、2021年度以降の経営計画達成にも確かな手応えを 感じています。 株主の皆様への利益還元についても2021年度には1株当たり 30円の年間配当に回復できると予想しております。当社は今後も 企業価値のさらなる向上を目指して邁進してまいります。

PDF版 分割ダウンロード

価値創造ストーリー (PDF:2.5MB)

  • コニカミノルタフィロソフィー
  • コニカミノルタのDNA
  • 価値創造プロセス
  • 価値創造に向けたマテリアリティ

中長期の価値創造戦略 (PDF:3.9MB)

  • 中期経営計画の変遷
  • CEOメッセージ
  • 中期経営計画「DX2022」
  • CFOメッセージ
  • 中長期の成長ドライバー
  • 環境戦略

価値創造を支える基盤 (PDF:2.4MB)

  • コーポレートガバナンスの概要
  • 取締役会議長メッセージ
  • 指名・監査・報酬委員長メッセージ
  • コーポレートガバナンス
  • リスクマネジメント
  • 役員一覧
  • 外部評価

データセクション (PDF:2MB)

  • 財務データハイライト
  • 非財務データハイライト
  • 事業セグメント別
    データハイライト
  • SASB対照表
  • 会社概要・株式情報
  • 用語集