技術概要
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コニカミノルタでは、シェアモード型オンデマンドピエゾ駆動方式のインクジェットヘッドについて長年研究開発をし、各産業用途で製品化をして参りました。コニカミノルタのインクジェットヘッドの技術概要について、これまでの外部発表資料、環境への取り組み、またインクジェット技術により興味を持っていただくためのコンテンツを掲載いたしました。
インクジェットとは
インクジェット技術とは、微小な液滴を対象物に非接触で、ダイレクトに印刷する技術です。
非接触で印字できるため、印刷可能な対象物が多く、一般用から産業用途まで様々な分野への応用が始まっています。
印字ヘッドと走査機構を組み合わせたシンプルな構造のため、機器コストを安く抑えられるというメリットもあり、また版が不要なため、従来の有版の印刷方式(スクリーン印刷など)と比較して印刷工程(ワークフロー)が大幅に短縮できます。
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スキャン方式とシングルパス方式
インクジェット印刷システムには、スキャン方式とシングルパス方式の2種類があります。スキャン方式では、ヘッドキャリッジが印刷媒体に対して左右に往復し、印刷プロセスを完了します。一方シングルパス方式は、ヘッドを用紙の幅に配列して固定し、その下を搬送される印刷媒体上に一度に印刷します。
シングルパス方式は、その高速印刷能力により、高い生産性が要求される産業印刷の分野で使用されるようになってきています。
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シェアモード型圧電素子インクジェットヘッド
- 3サイクル駆動ヘッド
コニカミノルタのオンデマンドピエゾヘッドは、省エネ効果のある3サイクル駆動技術を採用しています。この技術は、すべてのノズルを3つの群に分けて、時分割射出制御します。この方式は高密度化しやすい構造ですので、高画質ヘッドの開発の際に有利です。
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コニカミノルタヘッドの構造図
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ヘッド構造図(インクチャネル面)
- 3サイクル駆動ヘッドの原理
コニカミノルタのオンデマンドピエゾヘッドは、省エネ効果のある3サイクル駆動技術を採用しています。この技術は、すべてのノズルを3つの群に分けて、時分割射出制御します。この方式は高密度化しやすい構造ですので、高画質ヘッドの開発の際に有利です。

まず、Aのチャネルから、インクを射出し、画像の一部を形成する。
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次に、Aのチャネル射出した後に、Bのチャネルから、インクを射出し、画像を形成。
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Bのチャネル射出の後に、Cのチャネルから、インクを射出し、画像が完成。
- 消費電力を50%低減しました。
KM1024シリーズは、従来のKM512シリーズに比べ、ノズル数を2倍に高密度化し、消費電力を約50%低減しました。新アクチュエーターの開発により、インクチャネル長を短く、容積を小さくすることで、大幅に消費電力を低減することに成功しました。ピエゾ方式の特長である、省エネをさらに改良しました。
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現行アクチュエータ(左)と新アクチュエータ(右)構造比較
- 産業用途に適した高耐久性
高耐久性が求められる産業用途では、様々な種類のインクの利用が要求されます。
水系インクのような低粘度インクから、UV硬化インクのような高粘度インクまで対応するように、耐久性のある部品、最適な材料を選定しています。
- すぐれた精密加工、組立技術
コニカミノルタのコア技術のひとつである精密加工技術(レーザー加工、ダイシング加工、材料加工等)により、ヘッドの主要部品、部材を、精密に加工・組立します。また射出性能の全自動・全ノズル検査技術により高品質な製品を量産し、またスピーディーに供給する生産体制を確立しています。
- 小液滴化、高速化、高駆動効率化を達成したヘッド
一般用から工業用まで多様な用途と各種特性のインクに対応するインクヘッドです。シェアモードタイプの圧電素子を用いているので低電力駆動が可能。多チャネル化も容易です。インクを小液滴化して噴射することで高画質な画像と高速化、高駆動効率を実現しました。
また、微細構造であるため実測が難しいヘッドの特性について、コンピュータシミュレーションを用いた解析を行い、その結果に基づいた高精度な設計・開発を行なっています。アクチュエータ(圧力室壁)の特性についての構造解析・電界解析をベースに、低電圧で大きな変位が得られるヘッド構造を開発。インクチャネル (圧力室)やノズルを含む流路についても、流体運動解析や気泡排出性解析のデータに基づき形状やサイズを最適化しています。
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Comparison of new (right) and existing (left) architectures
- インク噴射のしくみ
圧電材料で形成されたアクチュエータ(圧力室壁)に電圧をかけ、チャネルの内圧が上がる方向に変形させることにより、ノズルからインクが液滴として噴射されます。
ノズル内の減少したインクは毛管力によりインク室から補給され、その後の噴射が可能になります。
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* 赤が加圧、青が減圧の状態を示す。
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シェアモード型圧電素子インクジェットヘッド
- シェアモード型圧電素子インクジェットヘッド
テキスタイルプリンターNassengerシリーズ専用に開発されたインク。
綿、シルク、ポリエステルなど様々な繊維に染色でき、環境や人体への影響に配慮した安全性の高いインクです。
水難溶性染料を独自技術により分散した保存安定性に優れる分散染料インクと、繊維の水酸基と共有結合を形成する反応染料インクなどを用意しています。
綿 | レーヨン | 麻 | シルク | ウール | ナイロン | ポリエステル | アセテート | |
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分散染料インク | ◎ | ◎ | ||||||
反応染料インク | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
酸性インク | ◎ | ◎ | ◎ |