デザイナーズインタビュー

可視化する力は、人の心を動かす

平野 裕子

プロダクトデザインを担当

実体あるモノに惹かれ、プロダクトデザイナーに​

高校時代から漫画を描くのが好きで、小物や道具などのガジェットを描いているとき、「楽しいな」と思える自分がいました。美術大学では、モノを目の前で立体的につくりあげていくことのおもしろさを感じ、さまざまなスケールの製品を設計できるプロダクトデザイナーを志しました。​
コニカミノルタについては「カメラの会社」というイメージがありましたが、転職活動中に読んだ社長インタビューの記事に、根幹だったカメラ事業からシフトチェンジしていくと決意が述べられていました。「ここまで大胆に変革しようとする企業なら、新しいことにチャレンジできるだろう」と思い、入社しました。

写真:平野裕子

複合機の新シリーズで「洗練さ」を追求

2019年発売の「bizhub-i」という複合機の新シリーズでプロダクトデザインを担当しました。以前の機種から使われていた白と黒の基調色を踏襲しつつ、白と黒のエリアをはっきり分けて、洗練さを高めました。
開発担当者と協力して、A3サイズ機とA4サイズ機の操作パネルを同一にしたことも、大きな改良点です。操作法の共通化はユーザーベネフィットにつながりますし、私たちメーカーにとっても生産効率の向上になります。操作パネルを90°まで傾けられるようにして反射光の映り込みを抑えるようにもしました。

写真:モックアップ

製品イメージを「形」で示し、プロジェクトを前進させる

私たちデザイナーとしては、新世代のbizhub-iシリーズを発売することに積極的でしたが、当初は社内で慎重論も含めさまざまな議論がありました。そこで、モックアップとよぶ外観の模型を試作して、販売会社スタッフやマーケティング担当社員たちに示したのです。製品のイメージを具体的に共有することができ、「新世代として打ち出しましょう」と、勢いが加速していきました。目の前で触れられる「モノとしての形の力」をあらためて感じましたね。

外観、機能、効率性、すべてに「美しさ」がある

デザイナーとしてのやりがいは、「美しさ」を目指すところにあります。「美しさ」とは、見た目のよさだけでなく、プロダクトを使うときの迷わなさ、ブランドとしての統一感、また、今回の操作パネルの共通化で実現したような生産効率性の高さなども含めてのものです。
なぜ、美しさを求めるのか……。それは「美しいほうがいいでしょ!」としか言いようがありません(笑)。純粋な心の要求です。

写真:ラフスケッチと操作パネル

デザイナーの強みは「可視化できる」こと

これからもデザイナーとしてスキルを研鑽していかなければと思っています。造形やスケッチをする能力。CADで図面を素早くつくる能力。頼りたい人にお願いするためのコミュニケーション能力……。さまざまなスキルが考えられますが、どのような手段であっても、まわりの人に見えるもの、伝わるものとして「美しさ」を伝え、納得してもらえるようにならなければと思っています。
リサーチャーにも企画者にもないデザイナーの強みは、「可視化できる」ことなのだと思います。表現したい美しさをつねに可視化することができる。そんなデザイナーをめざしています。

写真:ミーティング風景

OFF TIMEオンとオフはつながっているもの​

写真:平野のオフの日の様子

個人的には、オンとオフを切り替えながらも、すべてがつながっています。デザイナーであると同時に生活者でもありますからね。生活者として遊びや旅行など、さまざまな体験をするなかで、良いことにも悪いことにも気づいて、それを仕事にも活かしていきたい。そのために「感じる心」を錆びさせないことが大事だと思っています。​

Designer's Profile

写真:平野のプロフィール写真

Hiroko Hirano

武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科インダストリアルデザインコース卒業
2015年にキャリア採用入社

入社後、複合機をはじめ、幅広い種類の製品でプロダクトデザインを担当してきた。光学製品ではプロジェクトリーダーもつとめている。