コニカミノルタ株式会社（本社：東京都千代田区、社長：大幸 利充、以下　コニカミノルタ）は、長距離吐出を特長とする産業用インクジェットヘッド「KM800シリーズ」の新製品として、ヒーターの搭載で幅広いインクに対応する「KM800H-MR」を発売しました。

【 インクジェット技術で流通業界の効率化に貢献 】

物流量の増加などを背景に、流通業界では生産性向上へのニーズが高まっています。インクジェット技術で金属や木材などの工業製品、医薬品や食品包装、段ボールなどの対象物に直接印字する方式は、印字したラベルを貼付する方法と比較すると、ラベル交換によるダウンタイム削減などにより効率化を図れるとともに、廃棄物削減により環境負荷低減にも貢献します。また、インクジェット方式は印字する情報を柔軟に変更できるため、デザイン変更や生産調整がしやすいことが特長です。小ロットにも対応し、在庫のロス低減に寄与します。特にピエゾ式インクジェットは高画質印刷が可能であることから、狭い範囲への精細な印刷や、二次元バーコードなどの複雑な印刷にも適しています。
コニカミノルタは、作業工程の効率化や環境負荷低減に貢献するインクジェットヘッド事業の拡大により、マテリアリティ（重要課題）に掲げる「働きがい向上および企業活性化」、「気候変動への対応」、「有限な資源の有効利用」に取り組んでいます。流通業界でも、対象物への直接印字による工程削減や、小ロット対応も可能なことから、生産性向上への貢献に向けた提案をさらに強化していきます。

【 「KM800H-MR」が提供する価値 】

「KM800シリーズ」は、インク吐出部から20mm^*1 離れた対象物にも高画質で印刷できる優れた長距離吐出性能やインクの吐出安定性などが特長です。この長距離吐出性能により、曲面や凹凸面などノズルから印刷面への距離が一定ではない基材に対しても印刷が可能です。また、インクジェットヘッドと対象物の距離を確保することで、搬送中にぶつかって印刷機に搭載されているインクジェットヘッドが故障したり、対象物が破損したりすることを抑制し、生産性向上にも貢献しています。

「KM800H-MR」はヒーターを内蔵することで、常温で水性インクに比べて粘度が高いUVインクでも、長距離吐出を可能にしました。UVインク対応によりプラスチック、フィルム、紙器など非吸収性基材への印刷が可能となり、ボトル、パッケージ、医薬品の包装や医療品など向けのコーディング・マーキングに用途を拡大します。

【 「KM800シリーズ」のインクジェット吐出技術について 】

１．優れた長距離吐出性能で曲面や凹凸面への精細な印刷を実現

インクジェットヘッドのノズル（インク吐出部）から印刷する対象物までの距離は、約1mmから3mmが一般的です。距離が離れるほどインクが正しい位置に届かず、画質が低下してしまいます。コニカミノルタの長距離吐出技術は、ノズルと対象物が20mm^*1 離れていても、二次元バーコードなどの精細な印字ができる優れた性能を実現しています。また、毛羽立ちが干渉しないようヘッドと印字面との距離を保つこともできるためテキスタイル印刷にも適しています。さらに、ノズル列間の幅が狭いことが曲面や凹凸面への印刷性能に対する相乗効果となり、立体物へ直接印刷するDTS^*2 への応用も期待できます。

２．縦置きとカラー印刷対応で幅広い使用環境に対応

一般的に、インクジェットヘッドは横向きに置いて対象物に対して垂直方向に印刷しますが、搬送工程の中で対象物の側面に印刷する場合には、インクジェットヘッドを縦に置く場合があります。縦に置くと、水頭差により上部に位置するノズルと下部に位置するノズルで吐出特性が変わってしまい、画質の低下につながります。「KM800シリーズ」はコニカミノルタの微細加工技術や駆動技術を応用し、縦に置いてもインクを安定して吐出させることで画質を落とさずに印刷が可能です。また、カラー印刷にも対応しており、加飾など幅広い用途に使用できます。さらに同シリーズは、印刷機への組み込みやすさを考慮したコンパクトな製品設計となっています。

【 「KM800H-MR」の主な仕様 】

【 お客様のお問い合わせ先 】

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*1 段ボールへの印刷の場合。コニカミノルタ独自の駆動条件による検証例であり、保証値ではありません。
*2 DTS：Direct-to-Shapeの略。立体物への直接印刷を指します。