ニュースリリース

X線タルボ・ロー撮影装置「XtraLINQ Talbot®」が先端材料技術協会「製品・技術賞」を受賞
炭素繊維強化プラスチックの研究に貢献する非破壊検査

2023年9月26日

コニカミノルタ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:大幸 利充、以下 コニカミノルタ)は、当社のX線タルボ・ロー撮影装置「XtraLINQ Talbot®(エクストラリンク タルボ)」が、先端材料技術の発展に関わる著名な業界団体である一般社団法人先端材料技術協会(SAMPE Japan)1)より、「製品・技術賞」として表彰されたことをお知らせします。表彰式は、9月25日に東京大学 本郷キャンパス(東京都文京区)にて行われました。
「XtraLINQ Talbot®」はタルボ・ロー干渉原理を利用したX線干渉撮影装置で、X線が撮影対象を通過する際に生じる、減衰、屈折、散乱を画像化することにより、従来見ることのできなかった軽元素や数μm2)オーダーの散乱物群を可視化します。この度は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP3))の研究に大きく貢献したことが評価されての受賞となりました。

製品・技術賞はSAMPE Japan主催の講演会又は展示会において発表、出展されたものから、新材料もしくは新プロセスによる新製品または新技術で、独創的、技術的及び商品的に優れたものに対し授与されます。

【表彰対象】

X線タルボ・ロー撮影装置「XtraLINQ Talbot®」

【推薦理由】

コニカミノルタが他社に先駆けて開発したタルボ・ロー干渉を利用したX線撮影装置であり、CFRP内部の繊維状態を非破壊、大面積、短時間で高精度に抽出することを可能とし、特に不連続繊維を用いたランダム配向型のCFRPにおいて、局所的な繊維量、繊維分散および繊維配向など、物性に密接に関係するCFRP内部の情報を非破壊で取得可能になった。また、CFRPの破壊挙動を予測できる可能性を見出すなど、CFRPの研究に大きく貢献した。

【X線タルボ・ロー撮影装置「XtraLINQ Talbot®」について】

「XtraLINQ Talbot®」はX線管と画像検出器の間にG0、G1、G2の3枚の格子を配置しています。G0格子はX線の干渉性を高め、干渉性の高まったX線がG1格子に当たると、干渉を起こし、G2格子の位置に干渉像を結びます。この干渉像が被写体の有無で変化し、その差を検出、演算し、吸収画像、微分位相画像、小角散乱画像を作成します。

このタルボ・ロー干渉計を用いた位相コントラストイメージング技術で作成した3つの画像は、それぞれ次のような特長を有します。
吸収画像:X線の吸収の大きい金属異物などの検出に優れる
微分位相画像:微小な屈折角を画像化することで高分子や炭素繊維など軽元素の描写性に優れる
小角散乱画像:画素サイズより小さな数μmの粒子群や数μmの繊維の束を画像にすることが可能

【CFRP研究・市場展開での活用について】

CFRPは、航空機や自動車等のモビリティ向けの強靭かつ軽量な部材として増々期待が高まっています。市場展開へのキーとなる低コスト化を実現するために新たな成形方法の開発、活用が加速していますが、製法開発の研究や生産現場での検査においては、CFRP内部の繊維配向を大面積で把握し、強度を予測する手法が必要とされています。「XtraLINQ Talbot®」の大面積繊維配向画像は、このCFRPの繊維配向を可視化、定量化し、AI学習へのINPUT情報とすることでAIによる強度予測を可能にしました。今後も、CFRPを始めとした複合材料の開発、低環境負荷の部材開発における活用が期待されています。

これからもコニカミノルタは、本技術を、CFRPにとどまらず複合材料全般への応用展開を進め、社会から求められる非破壊での予測ニーズに貢献してまいります。


1) 一般社団法人先端材料技術協会(英語名 SAMPE Japan)
米国に本部を置くSAMPE(SAMPE Global)の日本地域本部で、材料とその加工・応用に関する技術を中心にして、研究・開発、生産、利用ならびに教育に関する情報を、収集、交換、討議、そして見学するなどの場を提供しています。SAMPEはThe Society for the Advancement of Material and Process Engineeringの略。
2) μm:マイクロメートル=1/1000ミリメートル
3) Carbon Fiber Reinforced Plasticsの略

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