1．背景

当社は、日本における高精度遺伝子診断導入の早期立ち上げならびにプレシジョンメディシンの推進に貢献するため、2017年にINCJと共同で、遺伝子検査のAmbry Genetics Corporation（以下Ambry Genetics社）を買収しております（持分比率は当社60％、INCJ 40％）。その後当社は、創薬支援のInvicro, LLC（以下　Invicro社）および国内事業会社コニカミノルタREALM株式会社（以下　コニカミノルタREALM）を加えた３社を傘下に持つKonica Minolta Precision Medicine, Inc.（現・REALM IDx社）を設立しております。
3社はそれぞれ「遺伝子解析技術」「臓器の画像解析技術」「タンパク質の精密定量技術」という強みを持ち、REALM IDx社はそれらを統合した世界的にも稀有な存在感を活かし、プレシジョンメディシン事業を展開してまいりました。しかしながら、当事業の成長加速の実現に向けては今後も継続的に成長投資が必要であるという認識に加え、当社の現状の財務状況を考慮し、準備を進めてまいりました米国株式市場への上場に加え、当事業の成長加速の実現に向け他社への事業譲渡も含めた戦略的選択肢の検討を進めることといたしました（2023年5月10日開示）。
なお、2018年に当社はKonica Minolta Precision Medicine, Inc.（現REALM IDx）を設立しておりますが、当初INCJが保有しておりましたAmbry Genetics社の株式は2021年にREALM IDxの株式へと転換しており、これによりAmbry Genetics社買収時におけるINCJのプット・オプションは失効し新たにREALM IDx社の持株比率（23％）に対してプット・オプションが付与されており、今般、この契約に基づいた本通知を当社が受領いたしました。

２．当社の想定買取価格、支払および株式取得時期

（１）想定買取価格

約220百万米ドル（注）
（注）2023年7月3日時点の為替レート（1ドル＝約144.5円）で換算すると約320億円
本買取に係る資金手当ては当期の社内計画に織り込み済みです。

（２）支払及び株式取得時期

本通知受領からおよそ180日を目途に実行する予定です。なお、付与されたプット・オプションは、将来の行使価格を予測し、適切な割引率により割り引いた公正価値をその他の金融負債として計上しており、2023年3月末時点で計上している金額は319億円となっております。その他の金融負債と実際の行使価格に差額が生じる場合は資本剰余金での調整となるため、本件が2024年3月期の当社連結損益計算書に与える影響はありません。

3．REALM IDx社について

REALM IDx社は、Ambry Genetics社、Invicro社、コニカミノルタREALMの3社の強みを活かしてプレシジョンメディシン事業を展開しています。
プレシジョンメディシンとは、個々人の細胞における遺伝子発現やタンパク質などの特性を分子レベルで判別することで個々の患者を精密にグループ化し、最先端の技術を用いて適切な投薬、治療と予防を提供する医療で、従来の画一的な方法ではなく、患者特性に応じた集団ごとの治療法から疾病予防、新薬開発までを確立することにより、適切な投薬・治療が可能となるため、膨張する国民医療費削減の切り札として世界中で注目されています。
特に、遺伝子検査で業界トップクラスの解析精度を持ち、世界に先駆けて先天性遺伝子変異を評価するRNA検査を商品化したAmbry Genetics社、高度な医療画像解析能力を持つ創薬支援のInvicro社はプレシジョンメディシンが進む米国市場においてもトップクラスの技術・実績を誇っています。

＜会社概要＞