ニュースリリース

トンネル内でローカル5Gを利用した低遅延カメラの実証実験を実施
建設機械の遠隔・無人操作技術の確立と生産性向上を目指して

2023年2月3日

コニカミノルタ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:大幸 利充、以下 コニカミノルタ)は、株式会社ミライト・ワン(本社:東京都江東区、社長:中山 俊樹、以下 ミライト・ワン)、株式会社安藤・間(本社:東京都港区、社長:福富 正人、以下 安藤ハザマ)と協力し、建設中のトンネル内でローカル5G*1を利用した低遅延カメラによる実証実験を行いました。

【実験の背景】

日本国内では生産年齢人口の減少による労働力不足が社会的課題となっています。特に建設業界では、労働力の確保が大きな課題であり、厳しい労働環境の改善も求められています。
コニカミノルタは、DXでこれらの課題を解決するため、建設機械の遠隔・無人操作技術の確立や生産性向上を目指して、ミライト・ワン、安藤ハザマとともにトンネル工事現場におけるローカル5G活用の実証実験を行いました。
これらの技術は、工事現場の作業効率化や安全性向上、労働環境の改善に大きく貢献するものと考えており、今後は今回の実験で得られたデータも分析・活用しながら、建設機械の遠隔操作検証などに向けてさらに開発を推進していきます。

【 低遅延カメラでの実験について 】

コニカミノルタの低遅延カメラをトンネル内に構築したローカル5G環境に接続し、高精細映像を伝送する実験を行いました。カメラと映像を受信・表示するディスプレイとの距離を200m、300m、400mと離しながら映像の伝送と遅延時間を検証した結果、全地点でカメラの撮影からディスプレイへの表示にかかる遅延を100ミリ秒(0.1秒)*2以下に抑え、4Kの高精細映像を伝送できることを確認しました。
この技術を活用すれば、トンネル内などの特殊な環境下でも建設機械の遠隔操作で遅延が許されない緊急停止や違和感のないスムーズな操作が実現します。また、リアルタイムで4K高精細映像を取得できることから、AIの映像解析による危険検知なども可能になります。

【 コニカミノルタの低遅延カメラの特長 】

コニカミノルタは、画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」を活用し、カメラからサーバーまでシステム全体で超低遅延に取り組み、リアルタイムな操作が可能なシステムの開発を進めています。
カメラから離れた場所にある端末で映像を受信する場合、伝送時間によって映像に遅延(タイムラグ)が発生し、遅延が100ミリ秒(0.1秒)を越えると人は違和感を持つと言われています。一般的なネットワークカメラの遅延は数100ミリ秒~数秒あるため、リアルタイムに遠隔操作を行うことは難しいのが現状です。また、通信時間だけを5Gで短縮したとしてもリアルタイムな遠隔操作には十分ではありません。5Gの強みである大容量・低遅延通信の特長を活かすには、映像を送信するカメラだけでなく映像を受信するサーバーも含めてシステム全体で遅延を減らす必要があります。
今回の実験に使用した低遅延カメラは、5Gに対応しているほか最大4Kの高精細映像の伝送が可能で、なおかつ映像伝送の遅延を50~70ミリ秒(0.05~0.07秒)に抑えています。このシステムを活用すれば、建設機械だけでなく、あらゆる機械で遅延の無い遠隔操作が期待でき、工事現場や工場などの省力化および安全性の向上に大きく貢献するものと考えています。今後は、早期実用化に向けて開発をさらに加速させていきます。

コニカミノルタは、これからも低遅延カメラを活用したDX推進に取り組み、働く現場の進化や安全・安心な社会の実現に貢献していきます。

【 参考情報 】

低遅延カメラでの実験も含めた、今回行われた「トンネル内での建設作業効率化および安全性向上に向けたローカル5G検証」の全体概要は以下の通りです。

目的 トンネル内の特殊環境下におけるローカル5Gの電波伝搬特性と低遅延での高精細映像伝送に与える影響の確認
期間 2022年11月19日、20日(2日間)
概要 ・トンネル内でローカル5Gの基地局と移動局の距離を変えながら各地点の電波を測定した結果、基地局と移動局間の距離を200m、300m、400mと100m間隔で離しても電波強度は極端に減衰することなく、スループット*3も良好な値を確認
・ローカル5G環境下における低遅延カメラの映像伝送を検証。カメラと映像を受信・表示するディスプレイが400m離れていてもカメラの撮影からディスプレイへの表示にかかる遅延を100ミリ秒以下に抑え、4Kの高精細映像を伝送できることを確認

各社の役割分担

ミライト・ワン ・トンネル内へのローカル5G、Wi-Fi6環境の無線エリアを構築
・電波の特性検証と伝搬測定
安藤ハザマ ・実証フィールドの提供
・トンネルのような閉鎖空間に適用する基地局構築方法と安全に関する検討
コニカミノルタ ・ローカル5G、Wi-Fi6環境における低遅延カメラの動作検証

*1ローカル5G:企業や自治体が独自に5Gネットワークを構築・保有できるシステム。外部ネットワークと切り離して運用できるためセキュリティ性が高く、通信安定性にも優れていて高速・低遅延な通信を実現できる。

*21ミリ秒は0.001秒

*3スループット:単位時間当たりの処理能力やデータ転送量

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