ニュースリリース

コニカミノルタと産業革新機構、
最先端の米国遺伝子診断会社アンブリー・ジェネティクス社の買収合意
プレシジョン・メディシン分野へ本格進出
コニカミノルタとアンブリーのコア技術を融合し、がん治療の革新、新薬開発に貢献
日本における高精度遺伝子診断導入を推進

2017年7月6日

コニカミノルタ株式会社
株式会社 産業革新機構

コニカミノルタ株式会社(本社:東京都千代田区、代表執行役社長 兼 CEO:山名 昌衛、以下 コニカミノルタ)と株式会社 産業革新機構(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:勝又 幹英、以下 INCJ)は、共同で、アンブリー・ジェネティクス社(本社:米国カリフォルニア州、会長兼社長:チャールズ・ダンロップ、以下AG社)の買収に関する契約を締結しました。

手続き完了後に8億米ドル※1を支払い、業績連動型のアーンアウト方式の採用により、AG社の今後2ヶ年度の決算数値に応じて、追加代金が最大2億米ドル発生する可能性があります。出資比率はコニカミノルタ60%、INCJが40%となります。

今回の買収合意は、がん治療などに今後大きな役割を期待されているプレシジョン・メディシン(個別化医療)推進に向けた戦略的取り組みの先駆けとなるものです。

プレシジョン・メディシンは、個々人の細胞における遺伝子発現やタンパク質などの特性を分子レベルで判別することで個々の患者を精密にグループ化し、最先端の技術を用いて適切な投薬、治療と予防を提供する医療です。従来の画一的な方法ではなく、患者特性に応じた集団ごとの治療法から疾病予防までを確立する事により、適切な投薬、治療が可能となり、膨張する国民医療費削減の切り札として世界中で注目されています。また、個人の特性を鑑みた適切な投薬は、副作用を軽減し、患者のQOL(Quality of Life)向上に寄与します。創薬分野においては、効果的なバイオマーカーの発見が薬理試験の効率化を促進することで創薬のイノベーションを加速します。さらに、臨床試験における正確な薬効予測を可能にし、臨床試験期間やその規模の縮小という形で、新薬開発の効率を向上させます。

AG社は、最先端の遺伝子診断技術を持ち、高度な商品開発力、多様な検査項目、高い検査処理能力、遺伝子カウンセラーチャネルでの圧倒的な強さを背景に、成長著しいがん領域を中心とした米国の遺伝子検査市場におけるリーダー的存在となっています。同社は、世界で初めて診断を目的としたエクソーム解析試験※2を始め、遺伝性および非遺伝性の腫瘍、心臓疾患、呼吸器疾患、および神経疾患など多数の臨床分野向け遺伝子検査を提供しています。カリフォルニア州に所有する最先端の大規模ラボにおいて、すでに100万件を超える遺伝子検査の実績を持ち、500種の遺伝子において45,000以上の突然変異を特定しています。

今回の買収により、コニカミノルタは、最先端の遺伝子診断技術、バイオインフォマティクスを駆使した高度なIT解析技術、最新鋭で大規模な検体検査ラボ、高収益なサービス事業を取得します。さらに、コニカミノルタの固有技術であるタンパク質高感度定量検出技術(HSTT)と、AG社の遺伝子診断技術を合わせることにより、患者のグループ化や新薬開発で欠かせない二つのコア技術を持ちます。両社の技術を基に、プレシジョン・メディシンをAG社がリードする米国から、日本・アジアおよび欧州展開によりグローバル・リーディング・カンパニーへと成長していきます。

日本では、近年日本人死亡原因のトップを占めるがんを対象に遺伝子診断サービスを導入していく予定です。まずはAG社の実績のある乳がん、卵巣がん、大腸がん等を対象としたサービスを2018年度より開始する予定です。また、日本人に特有な遺伝子情報を大規模に解析することにより、医薬、診断、医学のイノベーションを促進し、我が国のゲノム戦略、医療産業と人々のQOL向上に貢献していきます。

INCJは、本買収に参画することで、遺伝子検査をはじめとする医療の新潮流であるプレシジョン・メディシンの日本国内における基盤整備、関連事業の確立及び本格的な普及に貢献するとともに、日本企業やアカデミア・医療機関とのオープンイノベーションを促進することで、「日本における個別化医療の促進」「日本発のユニークな技術の商用化と海外展開の促進」など、健康・医療産業における新たな付加価値の創出を期待しています。

HSTTについて

コニカミノルタの独自技術であるHSTT (High Sensitive Tissue Testing)※3は、分子標的薬の標的となるタンパク質の存在位置と量を正確に測定することができます。これは、従来の免疫染色技術の精度をはるかにしのぐ技術であり、早期かつ高精度の診断と疾患に対する患者の免疫反応の把握を可能にします。高精度の診断と、疾患への分子標的薬等の薬剤の反応に関する情報取得により、研究者や臨床医の治療計画に貢献します。

AG社の概要

社名 アンブリー・ジェネティクス(Ambry Genetics Corporation)
設立年 1999年
本社所在地 米国カリフォルニア州アリソ・ビエホ (Aliso Viejo, CA)
従業員数 約600名
事業内容 乳がん、大腸がん等の遺伝子診断事業
売上高 約288百万米ドル(約316億円)(2016年6月期)
上場/非上場 非上場

本件に関わる手続きは2017年10月末に完了予定※4で、その後、AG社はコニカミノルタの連結子会社となり、事業はそのまま米国のアリソ・ビエホにて維持・継続します。

コニカミノルタ株式会社について

コニカミノルタは、進化したインプット・デバイスを活用して画像をデジタル化し、さらにディープラーニング等のAIを用いたデータ解析で、見えないものの見える化を実現するデジタルイノベーションを通じ、ビジネス社会や人間社会の進化のために新たな価値を創出すべく、潜在的課題を先取りして解を提供する「課題提起型デジタルカンパニー」を目指しています。強みである独自のコア技術とグローバル200万社の顧客基盤を基に、業種業態ごとに抱える課題を可視化し、生産性向上やワークフロー変革に貢献し、IoT時代をリードするサービスソリューションを提供していきます。

株式会社産業革新機構(INCJ)について

INCJは、2009年7月にオープンイノベーションの推進を通じた次世代産業の育成を目指して、法律に基づき設立された会社です。総額約2兆円の投資能力を有しており、革新性を有する事業に対し出資等を行うことで産業革新を支援することをミッションとしています。
INCJは、投資・技術・経営等で多様な経験をもつ民間人材によって運営されており、法令に基づき、当社内に設置している産業革新委員会にて、政府の定める支援基準に従って投資の可否の判断を行い、日本の産業革新に資する投資を実施いたします。

※1:1米ドル=110円換算で約880億円に相当。

※2:遺伝子のエクソン領域のみを濃縮して解析することにより、エクソン上の変異を効率的に検出する手法。エクソンは遺伝子の中でタンパク質に翻訳される領域であることから機能的に重要で,遺伝性疾患の多くがエクソン領域の変異により引き起こされると推定されています。

※3:HSTTの技術開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDOのがん超早期診断治療機器の総合研究開発プロジェクト/病理画像等認識基礎技術の研究開発プロジェクトの支援を受けたものです。

※4:実行日については、現時点での暫定的な予定であり、米国その他必要な各国の競争法に基づく関係当局の承認に係る手続きの完了後となります。

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