コンセプト
安心・安全がさらに求められる社会へ
「労働安全」は企業価値向上にとって不可欠な要素に
安全・安心な労働環境の実現はSDGs(持続可能な開発目標)にも明記されている目標であり、グローバルで通用する価値基準の一つと言えます。
特に日本では少子高齢化が加速しており、人材確保の観点からも安全な職場環境づくりは喫緊の課題です。
製造業における「労働安全」の現状
国内の製造業における労働災害の発生件数は下げ止まり、最近3年間は連続で増加しています(厚生労働省「平成30年の労働災害発生状況」より)。
また若返りが進んだ業種ほど、死亡災害が発生しやすい傾向があり(弊社調査)、製造業をとりまく下記環境変化に伴って、更に労働災害発生のリスクは高まると考えられます。
- 進む世代交代(経験豊富なベテランの引退、若年従業員の増加)
- 外国人労働者の増加(言葉の壁、安全文化のギャップ)
- 生産設備の老朽化(思いもよらないトラブル)
- 生産品目の多様化、高機能化(生産工程の変化、複雑化)
これまでの取組みが間違っているわけではありませんが、従来の安全管理手法の限界が迫ってきており、生産環境の変化に対応した安全管理の変革が求められています。
労働安全管理の変革に向けて
環境変化に適応した安全な職場づくりには、安全のPDCA管理のレベルアップが不可欠です。しかしながら、現状のPDCA管理は下記理由から限定的でスムーズとは言えません。
- アセスメントの属人化(人依存のアセスメント。リスクに対する重篤度評価も感覚的)
- パッチ型中心の対策(表面的かつ総花的な災害防止施策)
- 対策効果が未検証(施策効果の再アセスメント不可)
弊社の生産拠点においても労働災害が発生しており、その多くが「作業員の振る舞いに起因した災害」となっています。他方、日々の巡視などに取り組んできた結果、「職場・設備に起因した災害」はそれほど多くありません。
再び災害発生数を減少基調に戻すには、この人に起因した労働災害リスクに対する安全のPDCA管理を実現する必要があります。
人起因の労働災害リスクとは
製造業の現場には安全確保を目的とした作業手順やルールが定められていますが、生産効率を追い求めるあまり、ついつい作業ルールを逸脱してしまうケースが見られます。
また、ルールが敷かれていないため違反とは言えないグレーゾーンにある危険行動も多数存在しています。
労働災害の削減には、これらの日常的に発生している無自覚・無意識な不安全行動の抑止が必要です。
不安全行動とは
不安全行動は定められた作業ルールの逸脱といった労働災害発生のリスクがある作業員の振る舞いを指し、下記のとおり、お客様の職場環境・設備や生産品目、作業員の役割などに応じて多様です。
「労働災害が起きていないから安全」は通用しない
不安全行動と労働災害の関係について、下図(氷山モデル)で説明します。
労働災害のリスクは氷山と同じ構造であり、目に見える災害(水面上の部分)よりも、災害の要因となる不安全行動(水面下の部分)が多く発生しています。
現場では、普段から不安全⾏動(因子)が多数発生していますが、それらのほとんどが、安全管理者の目に触れることなく水面下に潜んでいます(潜在的)。
これらの因子の大半は潜在した状態で終わりますが、何らかのトリガーを受けると浮上して労働災害に変貌します(顕在化)。
- 【不安全行動】 作業員が稼働中の台車の横をすり抜ける行為
- 【トリガー】 靴紐の緩み⇒つまづき(体勢を崩す)
- 【労働災害】 台車と接触
トリガーの予測は困難なため、日々発生する不安全行動を減らしていくことが労働災害の芽(リスク)を摘むことにつながります。
いまこそ水面下にある不安全行動の抑止に向けた安全のPDCA管理に着手すべきなのです。
しかし、安全管理者が広い構内で作業員一人ひとりの行動に目を配ることは不可能です。安全管理者の代わりに常に作業員の振る舞いをモニタリングし、不安全行動の発生状況を定量的にアセスメントする手段が必要です。
コニカミノルタは独自の光学技術を用いて、不安全行動の定量的アセスメントを起点にPDCAサイクルを回す「安全のCAPD(キャップ・ドゥ)管理」の実現を支援します。